- 名前 ロコン(C){炎}
- 収録パック サン&ムーンシリーズ 拡張パック「タッグボルト」
- 購入価格 50円
- イラストレーター 杉森建
今回は杉森建氏の描かれたドーブルのポケモンカードを鑑賞します。
杉森建氏はポケモンのキャラクターデザインを担当している有名なイラストレーターさんです。
田尻智氏と共にポケットモンスターを1から作り上げた功労者であり、ポケモンのイラストと言えば杉森氏の名前が最初に上がります。
イラストの世界観
まず、ロコンとはどんなポケモンか、ポケモン図鑑の説明をまとめると以下になります
- 炎の玉を操る
- 尻尾が6本あり、成長すると更に増える
キツネをモチーフにしたポケモンで、進化すると九尾の狐をモチーフにしたキュウコンになります。
このポケモンカードのロコンは、子キツネらしい可愛さが表現された良いイラストだと思います
背景の無いイラスト
本イラストには、ポケモンのいる場所などを描いた背景がありません。
ポケモンカードにおいて、(UR,SR,exなどの高レアカードを除いて)背景の無いイラストはとても珍しいものです。
ポケモンの生態を紹介するのがポケモンカードなので、通常はポケモンの生活風景を背景に描くことが多いからです。
イラストレーターが杉森氏の場合、背景が風景ではないことが多いです。
おそらくは杉森建氏の公式絵を流用しているので、元のイラストには背景がなく、わざわざ新しい背景イラストを描く余裕がないのが主な理由だと思います。
おそらく杉森氏もしくは他のカードデザイナーの指示で、何か適当な背景を用意しているのでしょう。
以前に紹介した杉森氏のドーブルのポケモンカードも、公式絵の背景に新造形主義のイラストを配置したものでした。
ですが、怪我の功名と言うべきか、意味のある背景が描かれていないことで、ポケモンの存在感が際立つようになっています。
例えば、近世まで、西洋絵画においては 絵に山や町、室内などの詳細な背景を描くのが一般的でした。
簡単な習作であるとか、時間がないとか、消極的な理由で背景を描かないことはあっても、積極的に背景を描かないということは稀でした
ですが、ベラスケスやマネといった近代美術の画家は、あえて詳細な背景を描かないことで人物の存在感を際立たせるということをしました。
例えば、マネの「笛を吹く少年」という作品が、背景の無い人物画として有名です。
積極的に背景を描かない表現手法を採用したわけです。
ちなみに、この背景を描かない手法は、日本の浮世絵の影響を受けているとも言われています。
このポケモンカードも、意味のある背景がないことで、コロンの存在感や可愛さを強調する効果を生んでいます
イラストの構図
カラフルなモザイク模様の上に、杉森氏の公式絵を中央に大きく配置した、ロコンが一番目立つ構図になっています
イラストの配色
背景のモザイク模様は上が明るいオレンジで軽さを表現し、下が暗い緑で重さを表現しており、安定感があります。
背景の詳細が描かれていなくても、ロコンが大地の上に立っているイメージを持つことができます。



