• 名前       チルタリス(AR){ドラゴン}
  • 収録パック    ソード&シールドシリーズ ハイクラスパック 「VSTARユニバース」 
  • 購入価格     150円
  • イラストレーター 伊東亜沙子

今回は伊東亜沙子氏の作品を使ったチルタリスのポケモンカードを鑑賞します。
伊東亜沙子氏は編みぐるみでポケモンを作成されています。また、背景もフェルトで作成しています。

 

編みぐるみ

編みぐるみとは、毛糸を編んで、中に綿を詰めた人形です。趣味の手芸で作っている人は多く、彼らの一部は自分の作品をネットで販売したりもしています。

 

 

 

 

趣味や副業で編みぐるみを作っている人は多いですが、専業で生計を立てている人は非常に少なく、また美術館などで取り上げられる機会も多くないので、手芸界隈以外の人にはほとんど知られていない分野でもあります
私もポケモンカードで編みぐるみを見るまで、ほとんど知りませんでした。

編みぐるみは毛糸の太い線だけを使うので、大雑把な形しか表現できません。ある意味では、物を単純な図形だけで表現する造形主義のような作品となります
その大雑把さが作品に緊張感のない緩い感じを与え、親しみを覚えやすいのでしょう。また毛糸には暖かいイメージがあるせいか、私は作品にも暖かいイメージを持ちます。

イラストの世界観

まず、チルタリスとはどんなポケモンか、ポケモン図鑑の説明をまとめると以下になります

 

  • 柔らかい、美しい羽を持つ
  • 懐いた人間を羽で包む
  • 晴天日に空を飛び、ソプラノで歌う


本作は、胴体部分にフェルトを用いており、やや遠くから撮影しているので頭部が毛糸でできていることに一見では気がつけないかもしれません。
伊東氏の他の作品は以下のように、はっきりと毛糸でできていることが分かります。


編みぐるみは暖かく柔らかい雰囲気を持ちます。
綿毛のようなポケモンであるチルタリスを表現するのに、編みぐるみは最適な表現手段と言えるかもしれません

伊東氏もインタビューでは以下のように述べておられます

 

チルタリスのふんわり、モフモフとした可愛らしさを、毛糸やフェルトの素材を活かして表現したいと思い、特に、身体のわたぐものような部分は、モフモフの毛羽立ちを表現する編み方になっています。

 

 

インタビューによれば、ファンシーな部屋も全て伊東氏の手作りだそうです。
椅子、クッション、窓、敷物、壁紙、その他諸々の出来栄えの見事さにも驚かされる素晴らしいポケカです。

イラストの構図

部屋の小物が幾ら見事でも、それで主役のチルタリスが霞んでは本末転倒です。

本ポケカにおいて、チルタリスは中央からやや右よりに配置されています。
中央に配置すると目立ち過ぎるので絶妙な配置と言えます

1つ1つが主役級に目立つ小物を画面全体に均等に配置することで、どれか1つが目立つことがないように工夫されてもいます。

イラストの配色

窓からさしこむ光がチルタリスを照らして、一番目立つようになっています。
部屋の小物は暖色系を用いて、チルタリスは青と白の小物の反対色が用いられており、部屋の中でチルタリスの存在感を強く感じられます