エリカの招待SARのイラストはSRのイラストより人気がない?

本日に発売されたポケモンカード151 のカード「エリカの招待」のイラストがSARよりもARの方が良いという意見を見ました。

 

 

私も実際のイラストを見て、なるほどと思いました。


ARのイラストは現在に流行している美少女の作風ですが、SARのイラストは目が大きめで、鼻や口が小さく描かれており、90年代に流行した美少女の作風に近いからです。
現代的な作風の方が良いと思う人が多くいるのは当然のことです。

(ですが、後方で腕組みしながら「SARのイラストの本当の良さを分かっているのは俺だけだ」と思っている人が数万人はいると思われます)


二反田こな氏は、わざと90年代風のイラストを描いた?

今回のイラストを描かれた二反田こな氏のことを私は不勉強ながら知りませんでした。

 

 

 

 

作品を見れば分かるように、現代的な絵柄の作品を描けるイラストレーターさんです。
それならば、今回のイラストは、わざわざ90年代風に見えるように描いたと思われます。
どうして一般的な人気が出ないと分かっている作風をわざと選んだかについては2つの理由が推測できます

1. 現在の人気よりも、ポケモンカード151のコンセプトを優先した
2. あえて人気が出ない作風にして、過剰な高騰が起きないようにした


2番目については、私の単なるバカげた妄想です。カードの高騰を防ぐために、わざと人気の出ないイラストを使用するなんてことはありえないでしょう。
ただ、思ったようにカードを高値で売りさばけないことに不満な転売屋や吊り上げ屋が、カードのイラストをけなして見当違いの逆恨みをしているのは見かけました。

私としては1番目の理由が大きいのではないかと考えます。
ポケモンカード151は初代ポケモンをテーマにしています。よって懐かしさを感じさせるポケモンや作風が多く採用されています。
特にエリカの招待のSARは今回のシリーズの目玉になるカードです。そのイラストには初代ポケモン当時に流行した作風をあえて取り入れたのではないかと推測します。

90年代の美少女イラストについて昔語り

初代のポケットモンスター、赤、緑が発売されたのは1996年2月27日です。

当時のアニメにおける「美少女」は目が大きく、口と鼻を小さく描く作風が流行していました。

例えば、1996年に放映されたあかほりさとる氏原作のアニメ、セイバーマリオネットJは以下のような絵柄でした。

 

 

また、当時は、美少女ゲーム(18禁ゲーム)が全盛期を迎えようとしていました。
1990年代後半から2000年代前半にかけて、多くの有名作品が発売されます。Fate、ToHeart2、同級生、鬼畜ランスなど当時の多くの作品が、現在のゲーム、マンガ、アニメに多大な影響を与えています。
また、18禁のエログロ表現よりも泣けるシナリオを前面に押し出した美少女ゲーム、Kanon(1999年)やAIR(2000年)が大人気になりました。
これらの作品の美少女も先ほどと同様に目が大きく描かれています。

 

 

 

そもそも当時に放映されたアニメ版ポケットモンスターのエリカも、その当時の流行である目が大きく、鼻や口の小さい作画で描かれていました。

 

 


これらの美少女の作風は少女マンガを源流に持つとされています。
目の大きな美少女の作風がアニメやゲームに取り入れられることで1990年代から2000年代前半に爆発的に流行し、2000年代後半から2010年代には「けいおん」のような現代の流行に近い作風に変化していきました。

エリカの招待SARは、初代ポケモンが流行していた当時に発売されていたとしても違和感のないような、90年代の美少女イラストになっています

エリカの招待SARを描くイラストレーターさんのリスク

現在のポケモンカードは良い意味でも、悪い意味でも世間からの注目を集めています。
その注目されているポケモンカードにおいて、現在に人気でない作風でイラストを描くことは、イラストレーターさんの経歴にとって必ずしもプラスになるとは限りません。
しかも一番注目されているカードならば、なおさらのことです。

そういう作風のイラストレーターさんなのだと認識されて、その後の仕事の傾向が変わったり、減ったりしてしまうリスクがあります。

ですが、私はそれでも、このカードのイラストを描いたことは長期的にはメリットが大きいと考えています。
現在に人気の作風ではないというのは表面的なことです。本質的に素晴らしいイラストであることは明確な事実です。
最近はイラストを発注する側も目が肥えてきており、表面的な流行に乗っているかよりも、自分たちの求めるコンセプトを理解したイラストを描けるかどうかを重視しています。

今回のポケモンカード151のコンセプトを的確に理解してイラストに反映させた二反田こな氏の実力は、大いに評価されることでしょう。

また、現在に流行している絵柄も、いずれ廃れます。
その時になれば、今風のイラストかどうかというフィルターがなくなり、純粋にイラストの良さで評価されるようになります。
エリカの招待SARは流行りの作風ではないがゆえに、時間が経つほどに評価が上がっていくタイプのイラストと言えます。