1931年作。515事件の1年前,ナチス結党の2年後ですって,奥さん。それを考えると,ホントすごいわあ~。
戦前のドイツ。子供をねらう連続殺人鬼が登場し,警察は街で厳戒態勢を敷き,街中を隅から隅まで調べ回る。しかし,いっこうに捕まらず,市民からの不満が高まるばかり。
一方,泥棒などの犯罪者たちも,あまり警備が厳しいので商売あがったりになり,連続殺人鬼対策に乗り出す・・・。
フィルムが修復してあるためか,映像はきれい。画面比率が1.19対1で,ちょっと違和感があるけれど,とても77年前の作品とは思えない。ラングにとって初のトーキーだしね。
編集も構図もいい。ストーリーも抜群。
殺人鬼がペール・ギュントのメロディを口笛で吹く設定もすごく活きているし,「M」の文字も印象的。随所で「ウマイ!」と唸ってしまう。
殺人鬼は眼がクリッとしているので,驚くときよし師匠ばりに眼が飛び出そうになる。
演技はすごい迫力だ。
「お前らは怠け者で働きたくないから犯罪者になった。俺には選択しようがなかったんだ!自分の中に悪魔が潜んでいるんだ!俺自身が迫ってくるんだ!」。
眼をギラギラさせ,小さな体をよがらせて独白する様は,すごい・・・。
DVD特典映像はとても貴重。フィルムの画面比率の問題や,フランス語版で大幅な修正がなされていることなどがわかる。トーキーが数少なかったためか,フランス語用に一部を取り直していたり,俳優がフランス人になっていたりする模様。すげー。殺人鬼役の人もフランス語版でぜんぜん違う演技してるよ。ラストも違う・・・。
犯罪場面だけ切り取られ,ナチスの反ユダヤ映画に使われたりしたらしい。
いろんな技術を使って,何度も復元が試みられてるんだなあ。それだけに,とても貴重。
映画界に大きなインパクトを与えたことも,十二分に伺える作品。
観ておくべきだろう。
- 紀伊國屋書店
- フリッツ・ラング・コレクション M