マイケル•マン監督、アダム•ドライバー、ベネロぺ•クルス主演のガチな映画だった。マン監督が、リアリティをとことん追求したと言う通り、カーレース、その事故の描写は、世にも恐ろしい。流石に見物人を巻き込む場面は暈したが。それでも、阿鼻叫喚地獄だ。レーサー志望の人がいたら、とりやめても不思議はない。


さて内容だが、これも又、凄まじい。アダム•ドライバー演ずる、エンツォ•フェラーリ(フェラーリの創始者の1人)の偉人伝では、決してない。会社は酷い赤字でいつ倒産してもおかしくない。レースに勝って資金を集めようとするあまり、レーシングドライバーにはブレーキを踏むな! 何人もあの世に送った。人権無視、そりゃ惨い。妻のラウラ(ペネロぺ•クルス)との間は険悪、エンツォは妻に内緒で愛人宅に入り浸り、その子供を可愛がる(長じて、現フェラーリ社副社長)。ラウラのガサツな歩き方も、強い反発感情として印象的だ。


エンツォの良いとろは、何一つ描かれないが、エンツォに関わる人物の描写を通して、その厳しくも妥協を許さない彼の、別な様々な面が、何となくわかる気がする。


レースにある程度詳しかったら、興味深い仕掛けもわかったのだろうが、まあ仕方ない。