面白かった。堅物で清廉潔白を自認する浪人、柳田格之進を演じた、草彅剛が良かった。役に真摯に向き合う姿を見た。世間の下馬評を覆してSMAPの中で、彼が俳優として最も活躍するのでは?そんな予感がした。


囲碁を題材に取り入れた以外は、話は凝ったものではない。彦根藩の進物係だった柳田格之進が、陥れられ盗難の疑いをかけられ、浪人となって江戸の長屋で娘と2人で倹しい暮らしを送る。真相を知った彼は妻の仇討ちに••• 


この格之進、とにかく堅い。江戸時代にこんなに囲碁が盛んだったのか!?とも思うが、囲碁の手も正々堂々。格之進が招待された後に、金の紛失事件があり、商人が、ちょっと金の在処に心当たりがないか、と聞いただけで、盗人の嫌疑をかけられたと憤慨し、「もし出て来たら、そなたの首を貰い受ける」と迫り、果ては切腹にまで及ぶ始末。まあ、人の気持ちがわからない番頭(音尾琢磨)がいけない。


終盤になって、囲碁大会を仕切る親分(市村正親)がいいところを、かっさらっていくが、その後に仇役(斎藤工)が今までのはなんだったんだ、と思わせる存在感を示す。


格之進は、今回の騒動で、一回り逞しくなった。自分のスタイルを貫く姿勢もさることながら、不正を厳格に正す彦根藩の役回りで、多くの者を除き、その家族を赤貧の憂き目に晒したことを認識し、憐情を寄せることができるようになった。常に自分に試練を課す生き様は立派である。


他にキャストで驚きと言えば、小泉今日子だろう。