この前は、マッチングを見に行くつもりで、コヴェナントを見て感動したが、今回は、52ヘルツのくじらたち、を見に行くつもりで、何か暗そうだったからアーガイルを見た。底抜けに楽しかった。


エンリー•コンウェル(ブライス•ダラス•ハワード)、アーガイル•シリーズが人気のノンフィクション作家であるが、どうみても中年の松坂慶子にしか見えない(失礼)。


小説の中の話なのか、実際の話なのか、混沌の中で映画が進行する。作家は小説の中のスパイエージェントと遭遇したり(小説は好みのカッコ良い男だが、それよりかなりダサい)、実は作家になる前は敏腕スパイだったが記憶が敵により上書きされてしまったとか、なんと秘密エージェントのボスまで登場(サミュエルLジャクソン)。このボスは竹中直人にしか見えない。話の内容は混乱の極みだが(それでいいと思う)、ビジュアル的にアピールするシーンが随所にあり、見ていて飽きない。嘘みたいな展開なので、全て作家のイマジネーションなのだろう。


自分の記憶が他人の情報で上書きされるのは、京極夏彦の「狂骨の夢」でお馴染みである。心臓を撃たれても、僅かな間隙を貫通する事で命を取り留めるのも、「奥様は、取り扱い注意」映画版で採用していた。新しいと言えば、アイススケートのアクションシーンか。ブライス•ダラス•ハワードが肉感的なので、かなり迫力がある。相手役が彼女をリフトで持ち上げて回転するのは、相当大変だったろう。


理屈抜きで楽しめるところが良い。気に入った。