サブタイトルとして、約束の救出、とある。掛け値なしの素晴らしい映画だった。ジョン•キンリー米軍曹長(演:ジェイク•ギレンホール)とアフガニスタンで雇った現地通訳アーメッド•サリム(ダール•サリム)の友情物語である。


9•11同時テロ報復で米軍が仕掛けたアフガン戦争(2001年開始)から、時が経過した2018年が舞台である。キンリー率いるチームは、タリバンが秘匿する爆弾工場発見の命を受け、情報収集を続けていた。現地人から話を聞くのに通訳は欠かせない。米国は通訳の仕事の見返りに、米国移住ビザの発行を保証した。現地人はタリバンの脅威から逃れ安住の地を求めて通訳に応募した。アーメッドもその一人である。


アーメッドは元タリバン関係者で、裏事情や勘に優れていた。時には上官キンリーの命令を無視し、越権行為を働いた。結果的にはチームを救った。しかし、タリバンに襲撃され、キンリーとアーメッド以外全員死亡、二人はタリバンの追っ手から逃げることになる。遂に見つかりキンリーは重傷、タリバンに連れて行かれるところを、アーメッドが救出する。


それからが凄い。アーメッドは、タリバンの魔の手を逃れながら、裏の山道を延々100km、重傷のキンリーを運ぶ。カメラの撮り方が凄い。映像を見ているだけで没入してしまう。


キンリーは命を取り留め、無事家族の元に生還するが、自分を助けてくれたアーメッドがタリバンのお尋ね者になり、逃げ回っていると知り心中穏やかではない。キンリーは、米国移住ビザを渡すために再びアフガンに乗り込む。covenantとは、契約であり、彼はその義務を果たすために危険な道を選んだのだ。勿論、米国で交渉は難航を極める。現地に渡っても死と隣り合わせである。


二人の友情は素晴らしい。アーメッドは、自分だけ逃げられたのに、どんな危険な目に遭おうとも最後の最後までキンリーを見捨てなかった。これは、彼の心情としか理解できない。身重の妻もいるんだ。それに応えたキンリーも素晴らしい。これも恩義を感じ、彼の使命感のようなものが働いたのだろう。今日の打算、個人主義、という世知辛い世の中にあって、一際美しく輝く。ガイ•リッチー監督は凄い。


本作は、アフガンの広大な山地で繰り広げられるタリバンとの攻防戦が、実にリアルである。アフガン戦争で米軍が手を焼いたわけだ。メンタルをやられるのもわかる。米軍の情報探知や秘密兵器も登場する。そういう意味では戦争映画の側面もある。