前回の続き

ドラマQUIZ 1

http://ameblo.jp/beethoven32/entry-12205238715.html

 

表題は、誘拐事件のヒントとして犯人から送られてくる「くいず」をもとにしている。

この誘拐に便乗して、身代金をせしめようとする輩が、金の渡し場所を伝えるのが、「クイズ」

そして表題は「QUIZ」 ひらがな、カタカナ、英語というわけだ。

QUIZ、語源は不詳らしい。inquisitive(研究好きな、好奇心の強い、詮索好きな)の短縮語という説もある。

 

さて、高野家の一人息子、生(しょう)君(神木隆之介)が誘拐されてしまう。

「くいず あなたのいちばんたいせつなもの なーんだ。ひんと すでになくなってます」

というメールが高野家に届く。

 

早速警察が動く。特殊捜査班(SIT)の桐子カヲル(財前直見)が、捜査指揮を命ぜられる。

犯人にわからないように、ダンボール荷物の中に潜入し、刑事・白砂竜太(内藤剛志)が高野家に潜入。ところが、「くいず」は次々に来るが、身代金等の要求は何もない。

 

桐子は「人の内面が読めすぎる」特殊能力により精神をわずらい、二重人格のもう一人「薫」(内山理名)を宿す。時折幻影となって見える。捜査指示をしなければいけないのに失踪。

「いかにも刑事」の緒沢(生瀬勝久)が代わって指揮を執る。自信家で傲慢な刑事だ。

 

しかも、この誘拐事件を闇のネットルートで流して、面白がっている「引きこもり」がいる。

 

そのうち、身代金の要求が犯人から。しかしこれは便乗犯。

便乗犯は捕まるが、そのうち一人は、ボーガンの矢を同時に100本受けて、悲惨な死を遂げる。もうひとりは刑務所に。

 

そのうち真犯人から、6億の金塊を持ってくるように指示がある。しかもその運転手に、【高野舞(生君のお母さん)(森口瑶子)の愛人・英会話学校理事の宮部夏彦(羽場裕一)】を指名したのだ。宮部は生君の誘拐犯探索に懸賞金をかける売名行為を行っていた。

 

宮部は倉庫の中で、これまた悲惨な方法で殺害されるのである。

 

桐子の機転で、真犯人を逃がした者が警察内部にいることを突き止め、追い詰めるが、その刑事は拳銃自殺を遂げる。しかし彼は黒幕ではなかった。

 

子供たちが次々と消える。

そしていよいよクライマックスに突入!

 

さて、犯人の意図は?

高野家は舞(生の母)が啓(生の父)と別れて宮部と一緒になろうとしていた。啓も職場の女性とあやしいと舞は勘ぐっている。宮部は殺された

石原家は慈郎(慎吾と伸の父)が学校の担任の中森あゆみ(鈴木紗理奈)と浮気していた。慈郎は殺された。あゆみも殺されそうになった。

 

そう、子供たちの反撃だったのだ。親は子供が一番大事と言いながら、「いちばんたいせつなものなーんだ。ひんと すでになくなってます」というメールで真っ先に探したのは、貯金通帳やお金だった。生君はずっと、家の中を盗撮・盗聴していた。舞が宮部を家に連れ込んで抱き合ったり、「子供生むんじゃなかった」と言ったり・・生君には耐えられなかっただろう。

生君「すべて、前にぼくが出した『くいず』だよ。それに気づけば、すぐわかったはずだよ」と舞を攻める。

子供たちが次々に出す「くいず」に何も答えられない親たち。親たちは子供のことを何もわかっていなかった。それが子供たちにとっては寂しかったのだ。

 

「○○君が一番大事」と今更言っても、もう子供たちには通じない。

 

まあ、ドラマなので、ありえない救世主が現れ、事態は収集し、高野家、菅井家、石原家はハッピーエンドになるのだが・・

 

年端のいかない子供たちが集団でこんな恐ろしいことをするのかと、しかもドラマで放映するとは、と驚いた。DVDでは本編のすぐ後に、プロデューサなどスタフと財前直見との対談が20分近く収録されていて、子供たちの「悪魔性」の取り扱いにかなり詳しく言及している。

 

こんな恐ろしいことをしても許されて「チャンチャン」で終わるのは、不自然で非難を受けると思ったのか、ハッピーエンドのエンディングの前に、黒字に赤文字のテロップが流れる。

「この事件の黒幕だと言って全責任を取り、警視庁のボスが服毒自殺。

高野家、石原家、菅井家のプライバシーが公開され世間の非難を受け、地位も失い、引越しを繰り返し、いまはひっそりと暮らしている」

かなり違和感のある途中テロップだが、TV局で考えた末の判断だったのだろう。

 

事情も知らず、興味本位で非難する大衆、自社の儲けのためにプライバシーを平気で公開するマスメディア、言論の自由と表裏一体であるとはいえ、今も続く大きな課題である。

このドラマでは、こちらの方にはメスが入らなかった。

 

(完)