前回の続き

http://ameblo.jp/beethoven32/entry-12004129486.html




大方の級数を考えるのに、まず知っておかなければならない事の一つに、


「フーリエ級数(展開)というのがある」


簡単に言えば、ある曲線(直線でも、放物線でも、なんでもいい)を、


周期的な波の重ねあわせで表すというものだ。



同じ周期(波の山から山までの間隔)の波をいくつ重ねても、


似たような波にしかならないが、


周期の異なる無数の波を重ね合わせることで、原理的にはどんな曲線も表すことができる。


この無限の波の重ねあわせが級数になるように、変換する元の曲線を選ぶ。


多少、技巧的だが、最もわかりやすい方法だろう。



まず、波の関数から。



sin(x) (サイン エックス)と cos(x)(コサイン エックス) という代表的な関数を覚えないといけない。



下図で、横軸:xとして縦軸:sin(x)は黒色、cos(x)はピンク色


グラフは-π(-3.14)からπ(3.14)までを示しているが、この関数は-(左側)にも+(右側)にも延々と続く。


sin(x)もcos(x)も、周期(山と山の間隔)は2π(3.14×2)

















sin(x),cos(x)が、こういう波の関数だというのは定義なので覚えるしかない。


しかしこれを覚えておくと、ものすごく恩恵がある。



・sin(x):黒は、原点に対して点対称。sin(-x)= - sin(x)


sin(x)上の好きな点を原点と結んで延長すると、同じ距離だけ先で再び交わる


これを「奇関数」



・cos(x):ピンクは、y軸に対して線対称 cos(-x)= cos(x)


y軸にたいして折り返すと重なる。


これを「偶関数」という。



「奇関数」と「偶関数」は極めて重要だ。


[偶関数でも奇関数でも何でも]^2は必ず、偶関数

[なんでもいいから奇関数]^3は必ず、奇関数



sin(2x)は、sin(x)の1/2の周期の関数。sin(x)を半分に縮めた関数。


同様に、sin(3x)は、sin(x)を1/3に縮めた関数。


sin(x):黒、sin(2x):橙、sin(3x):緑、sin(4x):赤を、書くと下の図のようになる。


原点を通ること、±π(3.14)を通ることは変わらない。すべて奇関数。



cos(kx)も同様に考えれば良い。すべて偶関数




















さて、本題に戻って、任意の曲線を、


定数と、cos(kx)(k=1,2,3,・・・・・・・∞(無限大まで))、sin(kx)(k=1,2,3,・・∞)


で表す。


それぞれの係数をAo/2、Ak(k=1,2,3,・・∞)、Bk(k=1,2,3,・・∞)


とすると、



                ∞        ∞

[曲線の関数]= Ao/2+ΣAk・cos(kx)+ΣBk・sin(kx)

                k=1       k=1



これらの係数 Ao/2、Ak、Bkを求めることが「フーリエ級数展開」





y=xという関数をフーリエ級数展開してみよう。


y=xは奇関数だから、cos成分は0(偶関数だから)、Ao/2=0(x=0でy=0)



   ∞

x= ΣBk・sin(kx)

   k=1




両辺にsin(mx)をかけて、-πからπまで積分(曲線とx軸の間の面積を求める)する。


右辺は、


k=m以外の項は、sin(kx)・sin(mx)ができる。


cos((k+m)x)と、cos((k-m)x)の和で表され、y軸に対称に打ち消し合い、0


だから、


 π             π

∫x・sin(mx)dx = Bm・∫[sin(mx)]^2dx

 -π            -π


多少面倒くさいが、



Bm=-(-1)^m・(2/m)



    ∞

x/2= Σ[ [- (-1)^k ]・[sin(kx)/k] ]  (1)

     k=1


ようやく、フーリエ級数展開できた。


グラフにして比較してみると、点線がy=x


水色:第5項まで。橙:第10項まで


























なんとなく、y=xの直線が、sin波で表されることは理解できる。


加えていく項数が多くなるとうねうねが細かくなって直線に近づくイメージだ。



●こうなると、なにが嬉しいかというと、



(1)式に、x=π/2を代入すると、右辺は、


sin(kπ/2)=0(kが0でない偶数)

       =1(kが1、5、9、・・・)

       =-1(kが3、7、11、・・・)



だから、結局、


π/4=1 - 1/3 + 1/5 - 1/7 -1/9 +・・・・・・


「ライプニッツの公式」と言うそうだ。




(続く)