☆すいかの匂い →江國香織
どーもー
大町の少年王子ことビールマンでーす!
大好きな江國香織先生の作品
すいかの匂い
は11の短編集。
少女時代に
言いたくても言えなかった
切ない
子供だけが持つ感性を
美しくまとめた名作。
体験は共有しなくても
ぐっと子供の頃に
ココロが引き戻され
共感する気持ちがあふれてくる
そんな本です。
前にも話したかな・・・
俺が
小学3年生の夏休み
親戚のおじさんに誘われ
隣に住む小学4年生の友人と
そのおじさんの別荘という
蔵王に泊まりに行った時の話。
初めての一人外泊
いつも家では大口をたたく内弁慶の俺
蔵王の別荘に行く前に
子分(確かにおじさんはそう言っていた)の家に行くと
立ち寄った家は
まさにカタギな人では
一生建てられないような豪邸。
庭には
ドーベルマンが3匹。
そして
暑い暑いと
家の中を歩く
子分と呼ばれる
ティアドロップのサングラスをかけた人たち。
裸で歩き回るその背中には
鯉やらハンニャやらの
刺青。
蔵王の別荘も
かなりの大きさで
街の中で育った俺は
そんなさっき見た刺青を
忘れるほど広がる大自然。
いや忘れようとしていたのかも。
見たこともない大きな銀ヤンマを追いかけ
転んだ坂道で
目の前の草に
動かずたたずむ殿様バッタ。
虫取り網を振り回す汗ばんだ腕に
鮮やかな夕焼けが映し出す頃
楽しさが寂しさに変わっていく
そんな自分の心がぎゅっとなる。
夕飯の匂いで一杯になったダイニング。
今にも動き出しそうな壁にかかる熊のハクセイ。
床に転がるキリンラガーの空き瓶。
大きな窓から差し込む痛いような赤の夕焼け。
もう半分酔っているのか
ティアドロップの兄さん方の声も大きくなる。
見たことのない部屋。
見たことのない人。
そして
家から遠く離れた場所。
皿一杯に盛ってもらった
母親が作る味とは違うカレーを
半分も食べず
ホームシックの涙があふれる。
おばさんに
「カレーが辛かったかぁ?」
という優しい言葉にも
ただ
泣きながら
うんうんとウナズクだけの俺。
寒くもないのにもぐりこんだ
オレンジ色の毛布の中で
早く時間が過ぎることだけを願う。
一階でのドンチャン騒ぎが
頭の中で遠く向こうに聞こえ始めた頃
夢を見る。
家でご飯を食べている。
このオカズは嫌だよと
顔を上げた食卓には
家族が誰ひとりとしていなく
一人ぼっちの俺。
こんもり盛ったご飯と
豆腐とわかめのいつものお味噌汁からは
熱々の湯気。
泣きながらご飯を食べる。
そして
泣きながら家族を探す。
このごろ
20才以前のことは
だんだん思い出せなくなってきたのに(笑
この思い出だけは
鮮明に頭の中に残っています。
NICE LIFE!

