Our Friends in the North/ダニエル・クレイグの演技力 | イギリスで映画学

イギリスで映画学

映画学、特にQueer/LGBTQ Cinemaについて考察。
あとはイギリスでの生活。

 

 

 

 

 

北イングランド、ニューカッスルを舞台に戦後、1964年~1995年に渡るイギリス史を描いた見応えあるドラマ。

1996年にBBC2で製作、放送され全9話です。

イギリス文化が好きな方、イギリス映画が好きな方、是非見て欲しい!
なんと言ってもダニエル・
クレイグに興味のある方、絶対オススメです。

あらすじ:
1994年。アメリカの公民権運動のサポートを終え、地元ニューカッスルに帰ってきた/ニッキー(クリトファー・エクルストン)。恋人であるMary/メアリー(ジーナ・マッキー)、友人であるGeordie/ジョーディー(ダニエル・クレイグ)、Tosker/トスカー(マーク・ストロング)との再会を喜ぶ。
トスカーはバンド活動に精を入れる。ジョーディーは、付き合っている彼女の妊娠をきっかけに結婚することに。ある日、ニッキーは労働党(
Labour)地元議員Austin Donohue/オースティン・ドナヒュー(アラン・アームストロング)に出会う。ドナヒューが進めていた公団建設の必要性を強く感じたニッキーは、父親の反対を押し切り、復学予定だった大学に戻らず、ドナヒューの元でアシスタントとして働くことを決める。忙しい日々を送るニッキーに寂しさを募らせたメアリーは、トスカーと浮気してまう。一方で、アルコール中毒の父親のいる生活に耐えられなくなったジョーディーは、衝動的にニューカッスルを後にし、ロンドンへと向かった。

第2話が1966、そして
1967, 1970,  1974197919841987, 1995 と一話ごと微妙に見た目、服装、家族状況など主に4人の変化を見せていってます。


おすすめ!と言っておきながら、この作品はなかなか上級者編だと思います……と言うのも残念なことに、日本語版のDVDはいまだ発売されていないので、イギリス版、またはアメリカ版しか鑑賞する機会が無いのです。

私はイギリス版、しかも英語字幕も出ないの初版DVDで見たので、一回さらっと見ただけですんなり理解出来ませんでした。

まずね…

1.字幕がない
2. ニューカッスル特有の方言が聞き取りにくい
3. 仮に聞き取れたとしても文脈がわからないことが多々ある

4.なぜかというとイギリス戦後の政治背景を知ってないとわからない内容が多すぎる。(60年代半ばからの公団住宅建設の腐敗、警察腐敗、サッチャーの規制緩和、炭鉱閉鎖など盛りだくさん)

この四つの壁をどうやって攻略したかというと、このドラマが大好きで何回も繰り返し見ていたイギリス人の夫に途中何度も解説して貰いながら観ました。

しかし、彼ですら複雑に書き込まれた脚本の意味を100%汲み取ることはできないと言ってました。

もちろん、政治関係だけでなく主要キャストの恋模様も描かれているので、多少色味はありますが、それよりも時代時代によって翻弄されている4人の人生が面白い。当時に、悲しくなるというかやるせなくなります。時代の波に乗れる人、乗れなかった人、変わらず信念をつら抜き生きていく人。



特に、ジョーディーは時代に翻弄されたうちのひとりです。

私はジョーディーのキャラクターに一番共感したかな。

え〜、なんで、そんな、、そんな風になってしまうの。。。。

でもそうなってしまう弱さって誰もがきっと持っている。

 

最後のエピソードのラストショットが実はジョーディーの背中を追うショットだった(はず)。それがとても印象深かった。


007のクールなダニエルに慣れてる方には、ぜひオススメ。良い意味で彼の役者としての印象が変わります。彼の演技力にすっかり押されてしまいました。

 

 

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