*** 元気を取り戻す 3 ***
わたしが自分じゃなくなってから
1ヶ月が経つ頃
断片的にではあるけど
いろんなことを思い出すようになった。
それは今でも忘れないし
その時間は今でこそ大切…。
気づいたら手も足も顔も頭も
あらゆる右側に関しては動かなくなっていた。
その中でも一番不思議だったこと
それは言葉。
言いたい 話したい でも名前を言えない
ここはどこなのか 自分は誰なのか
このまま字が書けないのか 今日は何日なのか
冬ってなんなの?
朝?空は? 雪は?
脳がどんどん壊れていくすべを
どうする事も出来ず
曖昧な記憶を辿りながら
2月の寒い季節を
大きな窓から見つめるだけ…。
言葉…なにそれ?
おかしい自分、頭が壊れちゃったわたし。
看護師さんと言えない
ここがどこかも、
トイレに行きたいとも言えない…。
ベッドの上だけが自分の小さな世界だった。
それでもつらいという気持ちでもなく
それはそれでいいんだろうなと
ただ思ってはいたけど。
言葉の意味がわからなくて
頭の中で文字がぐるぐる回っているだけだった。
よく眠った…。
つづく