エドワード・ゴーリー編、柴田元幸・小山太一・宮本朋子 訳、『憑かれた鏡ーーーエドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』を読みました。

河出書房新社のハードカバーです。








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今回の本のお供は、簡単に栞です。

この本を読もうとしている時にちょうど可愛らしい栞の作り方をネットで見つけましたので。
ちょちょいと編んで、使っていました。
十字架の栞です。

この栞を編んでみたい方はこちら→
栞のデザインにまつわるエピソードも素敵なんですよ。
編み物ができる人はチェックしてみてくださいね。








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エドワード・ゴーリーのことはご存知でしょうか?

『ギャシュリークラムのちびっ子たち』という絵本が有名です。
この絵本はちょっと変わった絵本で、子供向けというよりは大人向け…かな?
アルファベットブック様式でAからZまで、

『A is for Amy who fell down the stairs
B is for BASIL assaulted by bears
C is for CLARA who wasted away


…』

と、順番にそのアルファベットで始まる名前の子供達が死んでいく、その死に方を並べた絵本なんです。

ゴーリーの絵はとても可愛らしく繊細な、雰囲気のあるペン画なんですけど。
内容はかなりブラックです。
可愛い絵と毒気のある内容のギャップがたまらない魅力です。







ムーミンシリーズの作者、トーベ・ヤンソンもゴーリーに影響を受けているそうですよ。
ヤンソンはゴーリーをモデルにした小説も書いています。

トーベ・ヤンソンのペン画の雰囲気とゴーリーの絵の雰囲気には、共通するものがあります。
私自身、ヤンソンがゴーリーの影響を受けていると知る前から、二人の絵は似ているなぁと気づいたくらいですから。
なんだかね、ワクワクするんですよね、どちらのペン画も。
想像力を掻き立てられるというか、絵に物語を感じるというか、世界の秘密をコッソリ覗いてるような気持ちになるというか…。
いいですね、すごく。






さて、本書は、そんなゴーリーが編集した怪談集です。
ヴィクトリア朝時代から近代あたりに書かれたイギリスの作家の怪奇小説が集められています。
ホラー小説ファンにとっては、古典入りするような作品ばかりが集められていますよ。
有名どころの小説もいくつかありますが、こうやってアンソロジーにまとめられたものを読むと、また違った面白さを感じますね。

古き良きイギリスのお化け話…といった雰囲気で、昨今のホラー小説のように怖い!と感じたりはしませんけれど。
とても味のあるお話ばかりで、心の中の冒険心を突かれます。

居心地のいい暖かなベッドで夜にランプの光の下で読んだり、ソファに沈み込んで座ってコーヒーでも飲みながら読んだり…。
安心できる場所でリラックスしつつ、ちょっと怖ーいお話の世界を味わう楽しみ。
そういう読書にはうってつけの本だと思います。

各小説に一枚づつついている、ゴーリーの描いた扉絵もいいんですよ。
想像というか、妄想というか、掻き立てられるったらありゃしません。

子供の頃、面白い本を読んだ時には必ず感じた「これからどうなるんだろう?」という、あのワクワク感が蘇ります。
こういう本って、いいですね。
私の場合は古いお化け話や雰囲気のある挿絵、ファンタジックな冒険譚やグリム童話集や民話集、神話集、昔話集…こういうものには未だにワクワク感を抑えることができません。
ワクつく!…って表現したりするのかな?今は。
三つ子の魂百まで、ですかね。






本書に収められている作品は、

『空き家』A・ブラックウッド
『八月の炎暑』W・F・ハーヴィ
『信号手』C・ディケンズ
『豪州からの客』L・P・ハートリー
『十三本目の木』R・H・モールデン
『死体泥棒』R・L・スティーヴンスン
『大理石の軀』E・ネズビット
『判事の家』B・ストーカー
『亡霊の影』T・フッド
『猿の手』W・W・ジェイコブズ
『夢の女』W・コリンズ
『古代文字の秘宝』M・R・ジェイムズ

以上の12編です。





(この12編のうち、『信号手』は岡本綺堂訳のものが青空文庫さんで読めます。
文豪ディケンズの恐怖短編、しかも岡本綺堂の訳!
これが無料で読めますから、お化け話が好きな人はぜひ。

こちら→『信号手』)





ディケンズにスティーヴンスンにブラム・ストーカーなんて大御所さんの作品に、『猿の手』というこれは海外古典短編ホラーの中では一番の有名どころじゃないでしょうかね?、こんなのも入ってます。

今回は一作品づつ細かな感想は述べません。
もしもこれから読む人がいるなら、まっさらな状態で楽しんでもらいたいですから。
ワクワク感を減らすようなことはしたくないのです。

感想の代わりに、私がこの12編の中で一番面白かったものと、一番怖かったものを挙げてみようと思います。



一番面白かったのは、『八月の炎暑』。
色んな想像を掻き立てられる不思議な偶然のお話です。
一体この偶然はどういうことなのか…結末や因果は読者に委ねられるタイプの一品。
茹だるように暑い八月の日中、この不思議な偶然に意味を見出そうとするのは暑さによっておかしくなった頭が妄想する白昼夢なのかしら?
それとも…



一番怖かったのは、『判事の家』。
『吸血鬼ドラキュラ』で有名すぎるブラム・ストーカーの作品です。
幽霊が出てくるお話は数あれど、ここまで全きの悪意の幽霊はなかなかお目にかかれないのでは?
と思えるような邪悪な幽霊が出てきます。
追い詰められる感が半端なく、とっても怖い小説です。







あのゴーリーが愛した怪談だけあって。
どれもこれも、ただの怖いお話というだけではなくて、雰囲気のある小説ばかりです。

こういう良質の怪談アンソロジーは良いですね。
童心に帰ってワクワク、恐々した気持ちを感じたい、とっておきの夜のために大事に本棚にしまっておきたい一冊です。
きっと何度読んだって、ここに集められた怪談は私を夢中にさせるに違いないのです。




















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秋、感じた?

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ああ、今日は秋分の日なんですね。
…実は私は祝日って、ほとんど覚えてないんです。
一体その日がなんで祝日なのかわからないままに、今日はお休みうれしいなー♪と、過ごしている私なのであります。

秋は…最近の朝晩の冷え込みと、空気の匂いに、感じます。
季節の変わり目って、空気の匂いが違いますよね?
今はもう秋の匂いに変わっています。













☆トミちゃんのダイエット奮闘記☆

今朝の体重は、

x+3.2kg

でした。


今日もそれほど変わりはありません。