小説 恋のUFOキャッチャー その3 | Berryz LogBook

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Berryz工房を中心とした、ハロプロについてのブログです。
彼女たちを登場人物にした、小説も書いてます。

「よし、任せとけ」

ホントに任せて大丈夫?

これまでの腕前を見る限り、不安はぬぐえない。
が、比較的取りやすい場所にあるし、岸本くんでもワンチャンあるかも。

そう思って、見守っていたんだけど、彼のアームを止めるタイミングに

「違う!」

と無意識のうちに声が出てしまった。

彼が驚いた顔をワタシに向ける。
しまった。ワタシは視線を逸らし、何事もなかったかのように、アームの行方を追った。

案の定、一旦景品を持ち上げたものの、バランスを崩す。
そして、最悪なことにその場でひっくり返ってしまった。

「惜しかったなぁ、次こそ…」
「待って!」

思いのほか、大きな声が出てしまった。
見上げると、岸本くん、怪訝な表情をしている。

「あの、ワタシにやらせてもらっていいかな?」

恐るおそる言うと、一瞬たじろいだ岸本くんだけど、一歩下がり、

「そうだよな。ゴメンゴメン、オレばっか楽しんじゃってたよ」

操作盤の前を、ワタシに譲ってくれた。

「じゃあ、オレが教えてやるよ。狙うのはだな…」
「あの、ちょっと黙っててくれる?」

ワタシは岸本くんの言葉を遮った。
こっちは、集中してるんだ。邪魔しないで欲しい。

とりあえず、うつ伏せの状態ではどうしようもない。
まずは、仰向けにしなければ。
アームを移動させ、少し右側に落とす。
左アームを引っ掛けて、その場で回転させる。

「なんだよ、またひっくり返っただけかよ」

岸本くんが、そう言って舌打ちした。
違げえよ、アンタが変な頽勢にしたのを、アタシが元に戻したんだよ!

とにかく、これで準備は整った。
パジャマVerは、それぞれがキャラにあった枕を抱いている。
ミカの場合は、ヘアバンドとお揃いの星条旗柄だ。

そして、その枕と腕との隙間にアームをブッ刺せば簡単に持ち上がる。

ワタシは慎重にアームを移動させ、その隙間に狙いを定めた。

「よし!」

アームは吸い込まれるようにして、枕と腕の隙間に入った。

「凄え! これ取れたんじゃねえ!」

興奮気味に声を上げる岸本くんと、ハイタッチする。
完璧だ。そう思った次の瞬間、もう少しというところで、アームから落下してしまった。

 

 

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