Berryz Quest 第八話 ──その11── | Berryz LogBook

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Berryz工房を中心とした、ハロプロについてのブログです。
彼女たちを登場人物にした、小説も書いてます。

「ちょっと待って、それなに?」
 
アイリがミヤビの手首を指した。

ミヤビは立ち止まり、右手を胸の辺りまで掲げた。
そして、左手を右手首に添える。
 
「これ? ただのブレスレットだけど」
 
手首に巻かれていたのは、色とりどりの紐を
よって作られた、ブレスレットだった。
 
そんなの持ってたっけと、モモコが
テーブル越しに身を乗り出した。

サキも立ち止まり、興味深そうに
彼女の腕を覗き込む。
 
「ああ、作ったの。
 みんなの服とかの切れ端で」
 
ミヤビはそう言いながら、人差し指で引っ掛け
クルクル回しながらブレスレットを外した。
 
「これがリサコがスカート短くした時の
 切れ端でしょ。
 で、こっちがマーサの服をサイズ直しした時の。
 こっちはねぇ、確かチィのだったかな
 モモ貰ったじゃん。
 そん時に袖を短くした切れ端」
 
ブレスレットを掲げ、一つひとつの紐を
指しながら説明する。
 
「あっ、ホントだ、モモの服とおんなじ色」
 
モモコがそう言うと、ミヤビは「でしょ」と首を傾けた。
 
「ふ~ん、そうなんだ」

アイリがテーブルに脚を掛け、登った。

「ちょっと見せて」
 
ミヤビの手からブレスレットを奪い取り
再び椅子に腰掛ける。
 
「へぇ~、器用なんだねぇ」
 
にやけた笑みを浮かべながら
ブレスレットを弄ぶ。
 
「ちょっと、なにすんの!」

ミヤビがテーブルに手を突き身を乗り出した。

「返してよ!」
 
取り返そうと腕を伸ばす。

が、アイリは盗られまいとブレスレットを
胸元に引き寄せた。

そして、口角を上げ八重歯を見せながら
イタズラっぽく言った。
 
「そうだ、これアタシから取り戻せたら
 剣、創ってあげる」

「はぁ? なに訳わかんないこと言ってんの!」
 
ミヤビが大声をあげた。
怒りで顔が真っ赤になる。
 
サキがモモコに身体を寄せ、耳元で囁いた。
 
「あのアイリって子、強いの?」
 
するとモモコは静かに首を振った。
 
「ううん、全然。
 ひょっとしたら、モモの方が強いかも」
 
ミヤビはテーブルに膝を掛けて登った。

アイリの胸元に手を伸ばすが彼女が椅子ごと
身体を後ろに傾けたため、またも届かない。
 
「ほぉら、盗ってごらん」
 
ブレスレットを持つ手を上げ
ヒラヒラさせて挑発する。
 
「もう!」
 
ミヤビは完全にテーブルの上に乗り
左手を縁に掛け、右手をさらに伸ばす。
 
アイリの胸元に手が触れた瞬間
彼女の身体が視界から消えた。
 
「うわあああ!!」
 
アイリが叫び声をあげた。

椅子の二本脚だけで支えていたのが
バランスを崩し豪快に後ろに転んだ。
 
「なに、今の身のこなし!」
 
テーブルの上でミヤビは悔しそうに舌を鳴らした。
 



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