Berryz Quest 特別編 ──その1── | Berryz LogBook

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Berryz工房を中心とした、ハロプロについてのブログです。
彼女たちを登場人物にした、小説も書いてます。

    ──プロローグ──




最後の客を送り出した後、モモコとユリナ

それにリサコの三人は、それぞれの店の中で

なにをするでもなく椅子に腰掛けうなだれていた。

遠くから馬の蹄の音が聞こえる。
だんだん近づいてきて、ついに店の前で止んだ。

ユリナが立ち上がった。


釣られるようにしてモモコが不安そうな顔を上げる。
扉が開き、サキが現れた。

「はぁー、ただいま」
「どうだった?」

ユリナが尋ねる。

サキはコリをほぐすように首を回した。

「間違いないね、あれはサーミヤの仕業だよ」

現在のところ、被害者は八人。
今朝、薬を買いに来た婦人の家の納屋に

潜んでいる可能性が高い。


緊急に町の議会を開いてもらい
魔物退治の依頼を受けてきたということだ。

サキはいつまでもうつむいているリサコの前に立った。

「さっ、リサコの出番だよ」

リサコは弾かれたように顔を上げた。
困惑するような視線をサキに向ける。

「あと、モモ!」

突然、名前を呼ばれモモコの顎がピクリと動いた。

「今回は、ふたりに行ってもらうから」


「ちょっと待って、なんでモモチとリサコなの?」

当人たちが口を開く前に、ユリナが訊いた。

サキはこの人選のどこに疑問を挟む余地があるんだ

と、驚いたような顔を作った。

「だって、サーミヤは水に弱いんだよ?
 だったらリサコじゃん」

そう言ってリサコの肩を抱いた。
そしてモモコの顔を指す。

「それにモモ、前にサーミヤ倒したの

 自分だって言ったじゃん」

ゆっくり立ち上がりながら

モモコはそうだけど、と呟いた。

「ね、これで決まり。じゃあ、準備して。

 ほら早く! 暗くなる前に発たないと!」

リサコの腕を掴んで立たせ、手を叩いて急かす。
宿泊先は確保しているからとモモコにメモを手渡した。

ふたりがのろのろと準備を進める間に
サキはマーサの部屋から一本の杖を持ち出した。

「リサコ」

サキが声を掛けると、リサコは虚ろな表情で振り向いた。


サキは手にした杖に、視線を落とした。

「これ、ファイティン城でマーサがもらった杖なんだ。
 けっこう、高価な物らしいのね。
 で、いつかリサコが一人前になって、必要な時が来たら
 渡そうって大切に保管してあったの」

淡々と語るサキの言葉を、リサコはぼんやり聞いていた。

「マァが居ない間に、アタシがこんなこと言うのもアレなんだけど
 今がその時だと思うんだよね」

サキは杖をリサコに差し出した。

「はい、受け取って」



 特別編 ──Bye Bye またね──




その13(なん恋)     特別編2