Berryz Quest 第七話 ──その3── | Berryz LogBook

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Berryz工房を中心とした、ハロプロについてのブログです。
彼女たちを登場人物にした、小説も書いてます。

「でも、それでモモが怒ったりはしてないんでしょ?」

サキが言うとユリナは静かに首を縦に振った。

「だったら問題ないよねぇ」

首をひねって後を向きサキは、荷物をまとめる
チナミとミヤビに同意を求めた。

「ないんじゃないの?」

投げやりな口調でチナミが応える。
ユリナが不満そうに口元をゆがめ、チナミを睨みつける。


が、ミヤビが大きな袋を担ぎながら口を開いた。

「うん、それにリサコも別にバカにしてるんじゃないと思うけど」

そしてサキに言ってくるねと手を振り、玄関に足を向けた。
杖を選んでいたチナミが、慌ててその後を追う。

なにか言いたげにふたりを目で追っていた

ユリナだったがなにも口にすることができず

改めてサキの顔を覗き込んだ。

「でも、やっぱり可笑しいよ、あんなことするなんて」
「イタズラだったら、チィやミヤもするよ」
「あのふたりは誰にだってするじゃん」
「う~ん。まあ、アタシもやられたことあるけど…」
「でしょ!?」

問題なのはリサコが仕掛けるのがモモコだけだということだ。


あれはきっと、モモコのことを

子供だと思って舐めている証拠だ。
ユリナはそう強く主張した。

「でも、それってさぁ…」

両膝をテーブルに置き、サキは下から見上げるようにして
ユリナに顔を近づけた。

「クマイちゃんが、モモのこと子供と思ってんじゃないの?」

「えっ?」

虚を衝かれ、ユリナは言葉を失った。
テーブルの上に手を滑らせながら

サキはゆっくり身体を起こした。

「クマイちゃんは、リサコに怒ってんじゃなくて
 イタズラされてもなにも言い返せないモモが
 だらしないと思って、怒ってんじゃないの?」

「それは…」

「モモはクマイちゃんが思ってるほど子供じゃないよ」

だから、ほっといても大丈夫と言ってサキは立ち上がった。


だが、ユリナは納得がいかない様子で

激しく首を横に振った。

「違うよ、モモチが子供かどうかが問題じゃないのよ。
 ウチが言ってるのは、リサコがモモチひとりだけに
 イタズラすることなのね。あれは、やっぱり…」

サキは椅子に座りなおし、ユリナの顔をまじまじと見つめた。

「じゃあ、クマイちゃんはどうすればいいと思う?」
「それは……」
「リサコが、モモのことバカにしないようにするには、どうすればいい?」

サキの問いにユリナは口ごもった。
しばらく考え込んだ末、絞り出すような声で言った。

「……モモチに、もうちょっとしっかりしてもらう」
「ほらぁ、やっぱり問題はモモにあるんじゃん」

笑いながら言うサキに、首を傾げながらユリナは顔をしかめた。

「まあ、クマイちゃんの心配もわかんないでもないよ。
 一度、リサコにはアタシの方から話してみる」

そこから先は、その後で考えようと

サキは話を切り上げ
立ち上がって厨房へ向かった。


まだなにか言いたげに難しい顔で座っているユリナに
サキは夕飯を食べていかないかと尋ねた。


すると、ユリナは慌てて立ち上がった。

「いや…そんな…いいよ、悪いし…」

「遠慮しなくていいよ。

 今夜はミヤが作ってくれたシチューだよ。
 クマイちゃん、シチュー好きでしょ?」

「…ミヤが作ったんだ」

じゃあ頂こうかなと言って、ユリナは座りなおした。

「そうしなよ。実はね、急な仕事が入って

 ふたりが出掛けちゃったもんだから
 アタシひとりで食べきれなくって困ってたんだよね。
 じゃあ、最後の味付けしてくるから、ちょっとだけ待ってて」

「えっ、味付けはサキちゃんなの!?」

サキが頷く。ユリナはテーブルの淵に膝をぶつけ
転びそうになりながら席を立った。

「そうだ、ミントにエサやるの忘れてた!
 ゴ、ゴメン、また今度ご馳走になるよ」

逃げるようにして立ち去るユリナを

サキは首を傾げ見送った。

「急にどうしちゃったんだろ、クマイちゃん」

そう呟き厨房に向かった。


火にかけた鍋に、調味料を適当にぶっ込む。
小皿に取って味見をし、なにか物足りないなと首を傾げた。

「モモは思ってるより大人…か」

さっきユリナに言った台詞を反芻し

サキはふと笑みを漏らした。

「だったらいいんだけどね」

そう呟きながら、大量のピーナッツバターを鍋に投入した。

 第七話 ──なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?──




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