Berryz Quest 第六話 ──その16── | Berryz LogBook

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Berryz工房を中心とした、ハロプロについてのブログです。
彼女たちを登場人物にした、小説も書いてます。

「なんでモモがいんの?」

チナミは声を張り上げ、モモコを指差した。
なにをそんなに驚いているんだという風に
モモコは目を丸くした。

「えっ、ちっちゃい子が迷子になっちゃったんでしょ。
 だからモモ、探すの手伝わなくっちゃって思って」

「ゴブリンが出んだよ、怖くないの?」

「もう、いくらなんでもゴブリンぐらい平気だよぉ」

そう抗議するものの、モモコはクロスアーマーの上に
ブリガンダインまで着込んでいる。


剣を携えているのはいいとしても、ゴブリンごときに
どれだけ重装備なんだとチナミは呆れ顔になった。

「そんなこと言ってる場合じゃないよ、早く探さないと!」

マーサに促され、チナミを先頭に

一行は森に続く道を進んだ。

道中、これまでの経緯とマイの特徴を説明する。

「ピンクの服着てて、目がね

 こうクリッとしてて可愛いの。で…」


「マイちゃんの特徴はいいや」


「えっ、なんで?」

特徴もわからず、どうやって探す気だろうと

首をひねるチナミに

「だって、こんな真夜中にちっちゃい子が外に居たら
 マイちゃんじゃなくても、ほっとけないでしょ!」


マーサはもどかしそうに、そう答えた。


三人揃って道なりに戻っても意味がない。
別れて捜索することとなった。


「じゃ、ウチこっち行くから」


マイが森に入った可能性は低いが、ゼロではない。


そう主張するマーサが、森の中を突っ切り
分かれ道まで先回りすることになった。

彼女の背中が見えなくなったところで
チナミはモモコに尋ねた。

「モモは、どうする?」
「えっ! モモ、さすがに森には入れない」

暗い森を不安そうに見つめながら首を振る。

「じゃあ、いいよ。チナミが入るからモモは道ね」
「ちょっと待って、迷ったらどうすればいいの?」
「迷わないよ。一本道なんだから、迷うわけないじゃん!」
「だって、分かれ道あるんでしょ?」

だからモモは来なくていいって言ったんだよ
とチナミは頭を抱えた。

結局、ふたりで道なりに進むこととなった。

頼りないモモコが一緒に居ることで
自分がしっかりしなければいけないと思ったのか
チナミは森に入ったり茂みの中を探ったり

精力的に動いた。

一方、モモコは辺りを不安げに見回しながら

歩くだけで、フクロウの鳴き声や狼の遠吠えが

聴こえるたび、悲鳴を上げた。


「ちょっとは静かにしてくれる? 集中できないでしょ!」

ついさっきミヤビに言われた台詞をモモコに言う。

「だってぇ…」

モモコの瞳に涙がたまる。

いつ、泣き出しても可笑しくない。

「もう、こっち来て」

そこは調度、小屋を見つけた辺りだった。
モモコの手を取り、森に入る。

「えっ、暗いし無理だって!」

後ろに体重を掛け抵抗されたが、強引に引っ張る。


小屋にたどり着くと勢いよく扉を開け

モモコを押し込んだ。

「ここで待ってな。後で迎えに来るから」

あんなに騒がれては、捜索にならない。


力任せに扉を閉め、モモコが出てくる前に

その場を立ち去った。

残されたモモコは、一旦小屋を出たが
二、三歩進んだところで足がすくみ立ち止まった。

チナミから授かった光の玉に魔力を込める。
が、あまり光量が上がらず

暗い森に人影を見つけることはできなかった。

冷たい風が吹きつけ、木々がざわめく。


ひとり取り残されたことに
急に不安になり、慌てて小屋の中に舞い戻った。




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