こんにちは、すももです。
「オフィスに就職」と、
「もっと本を読みたい」
という願いが一気に叶ったので、(つまり、電車で結構時間をかけて通勤しないといけない)
最近は本をたくさん読んでいます。
私はビジネス系やHow to系の本はあまり好きではないので、
好んで読むのはほぼ小説です。
小説を読んでいると、別の世界に行けるような気がするし、
他の人の内面や人生を知るのが面白いので。
あと、他のことを忘れて没頭できるのがいい
読書は精神的ストレスの軽減や、幸福度のUPにも繋がるそうです!
私は比較的読むのが早いようなので、読むのは通勤の時だけといえど、
結構なスピードで読んでいってしまうので、
そのたびに新しい本を買っていくとめっちゃお金がかかるので・・・
市民の味方、図書館にお世話になることに
読みたい本が絶対にある、というわけではないけれど、
図書館には小説が豊富にあるので、
とりあえず何か物語を読みたい、という場合なら全然構いません
まずは好きな作家さんの本から読むことに。
今回読んだのは、江國香織さんの
「抱擁、あるいはライスには塩を」
です。
借りて読みだしたあと、「あ、これ何年か前に読んだ・・・」と思い出しました
でも、重厚で濃密なお話は、改めて読んでも感じ入るものがあったなあ~
ここでは、ネタバレありの感想を書いていきます!
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大正時代から続く裕福な一家、柳島家。
世間とは違う教育方法や
父親や母親が違う兄弟姉妹が一緒に分け隔てなく大事にされ暮らしているというところから、
世間の常識をあまり重要視していないことがわかります。
私が一番びっくりしたのは、
その根がまさか、それまで心情をまったく描写されなかった祖母(主に焦点があてられる子どもたち4人から見て祖母)、
絹さんのところから始まっているということ。
終盤で、絹さんが、本当に愛していたのは祖父の竹治郎さんではなく、
竹治郎さんの信頼する番頭である「あの人」(豊彦さんの父親)であったことがわかります。
「あの人」は、そもそも日本に妻子がいた。
つまり、もう豊彦さんは生まれていたわけです。
それでも、絹さん(当時はオルガだった)と一緒にいたいからと、
竹治郎さんの求愛を受け入れて結婚するよう、勧めた。
そうすれば3人はずっと一緒にいられるから、と。
だいぶ、ぶっとんだ人ですね。
そして絹さんも、ソビエトで、家族を失ったりとものすごく恐ろしい目に遭ってきた後で、
そのようなことはあまり問題にも思えなかった。
納得がいきます。
菊乃、百合、桐之輔の3人の父親が、どちらであるかのはっきりした描写はありません。
「あの人」の心情も、竹治郎さんの心情も、描写されてはおらず、
絹さんの描写のなかでも「子どもを産んだ」としか書かれていないので、
どちらなのかは、読み手には本当にわからないのです。
でももし、菊乃が「あの人」との子だったら、豊彦さんとは腹違いの兄妹ということになってしまうし、
それはないのかな。
そして、一切描写されなかった竹治郎さんの心情。
彼が、絹さんと「あの人」との恋に気づいていたのかどうか。
そこは全く書かれていません。
私は、きっと、なんとなく気づいていたのではないかなと思います。
けれど、そこを指摘するような人ではない気がする。
日本に一緒に来て、日本人として、家も取り仕切り竹治郎さんの親の面倒もみて子どもも産んでくれて、
自分が惚れたのもあって、もし秘密の恋に気づいたとしても、そこは口にするまいと思ったのではないかな。
本当に、器の広い人だったのだと思います。
他に、心動かされたのは、
子ども時代の、幸せな家族の風景や思い出が、ゆっくりと変化していってしまうところ。
大人になってから、家族が集まっている時の、両親や兄弟姉妹のことを思い出すときの、あの感じ。
もう今となっては戻れないもの、懐かしいもの。
その感覚は自分にもあるので、めちゃくちゃ共感しました。
幸せな家族でも、時の流れはある意味残酷で、
ゆっくり変化して、全く違うかたちにしていってしまう。
家族は、一時期はどんなに一緒にいて固く結びついていても、
いつかゆっくりほどけていくものなのだなと。
でも、その固い結びつきが、その後の人生を守っていってくれるのだと、自分のことを考えても思いました。
意外だったのは、一番家族のことを疎んじているように描写されていた長男の光一が、
ラストの両親(菊乃と豊彦)の離婚を、百合と一緒になって反対していたこと。
彼は、そうは読めなかったけれど、彼にとっての家族の形をとても大事にしていたのだなと伝わってくるエピソードでした。
読み応えのある、面白いお話でした。
江國さんの本はもう一冊借りてきているので、また通勤の時間が楽しみです(^^)
それでは。