むかーし


俺が親方の元に

丁稚で入った頃。


仕事のやり取りは

全て事務所の電話とFAXやった。



現場の地図も


国土地理院か

わらじや発行の


産業地図をコピーをして

そこに


「ここ現場!」

って

マジックで矢印がしてあって


道路にもマジックで

どの道をどう通って

どこ曲がって

車はどこに止めるか?

って

書いて


それが

FAXで送られてくる。


ほんで

元請けさんと

電話で話をして


現場に行き

打ち合わせをして現調する。


親方が

見積もりを手書きでこさえて

それを封筒に入れ

俺が伝書鳩のように

元請けさんとこに持ってって


その後に

また電話で

工期の相談をして

指示書がFAXで届き


仕事をして


完工したら


親方が請求書作り

封筒に入れ

元請けさんとこに持って行き


事務のネエさんに

お菓子とジュース貰って


「あざーす!」

なんて愛想ふりまいて

帰ってくる。


月末締めの翌月払い。


銀行のATMの前に並んで

記帳して

振込金額確認をする。


そんな具合やった^ ^



いつしか


携帯電話ができた。


俺も

丁稚ではなくなった頃


パソコンとインターネットができた。


ADSL回線を繋いで


Eメールで

見積もりや請求書のやり取りが

できるようになった。


文字データだけやから

まだ、なんとかなった。


現場の場所も


住所だけが送られてきて


カーナビにセットして


迷わずに行けるようになった。


もう

このくらいから


じじい職人達は

ついていけんようになってきてた。


手作業から

電動工具

エア工具への移行には

ついていけたけど


インターネットになると

もう、さっぱり。


カーナビなんて

もっての他(T . T)


元請けさんに


「今まで通り

全部、FAXで送ってくれや!」


って

よう怒ってはった。


ほんで


そんな職人さんらは


だんだんと

使いにくいんで


消えていった。


ええ腕してても


元請けさんが

使いにくい職人は


そこそこの職人でも


現代の合理化の流れに

ついてきてる方に


取って代わられた。



現場の写真も

デジカメで撮って

Eメールに添付して送る。


現場に集合して

あーだこーだと

打ち合わせしないから


みんなの時間を合わせる必要がなくなる。


紙ベースのやり取りも

郵送やないから早い。


どんどん携帯電話も進化して


携帯で写真撮って

その場から

送れるようになった。


ここはこうして

あそこはああして

そこはそうしといて


全部

携帯からのメールで済む。


もう

進化に生存競争に

ついて来れない

ジジイ職人達は


細々と

下請けの下請けの下請けで

生きていくか


消え去るしかなかった。



スマホができた。



調べ物も

どデカくて重いカタログから

牽いて牽いてせんでも

よくなった。


木製巾木

75mm

コーナーしまい


その場で

すぐ分かる^ ^



やり取りも簡単になった。


LINEができた。


グループLINE。


現場、現場で

グループLINEを作り


連絡事項は

一斉に送れるし

送ってこられる。


見たか、見てへんかも

すぐ分かる。


写真も共有できて


複数人で入ってる現場の

共通理解も

とてもやり易くなった。



LINEの使い方を

覚えられない職人達は


ここで

脱落していった。


腕はええ。


でも

もう

現場の先頭にたって

ガンガンやることができない。


誰かの指示で

やれることだけやる人に

なってしまった。


このスピード感に

ついてこれへんねやったら


仕方がない。


何年か前から


現場管理アプリができた。


住所

現場の動画、静止画

入ってる業者の名前


現場のスケジュール管理から

納品、納入管理

それぞれの職種の職人の

進捗具合。


見積もり

請求

資材発注


全てが

そのアプリでわかる。


中堅以上の元請けさんとこやったら


この

現場管理アプリを

購入せえへんかったら


参入させてくれん。



これに

馴染めない職人も

脱落していく。


俺は

昭和のFAXと

ニッカドバッテリーの携帯電話の時代から


今の

スマホアプリ時代まで


昭和平成令和と


なんとか生き延びてきた。



でも


朝の記事の


SNS時代に


ついていけるんやろか?



もし

まだ

第一線でやってたら


何が何でも


食らいついて行ってたやろな。


もしくは


その道に詳しいヤツを

雇ってたやろ。


現状では


そこまでする必要がないから


知識として

入れとくだけでええ。



わからん!

知らん!

覚えられん!

難しい!

昔とやり方が違う!


文句ばっかり言うて


結局は

滅んでいった


恐竜のような


ジジイ職人のようには


なりたくは


ない( ̄▽ ̄)