今日は、「日本化におびえる世界」という本を紹介したいと思います。
日本化という言葉の意味するところと、世界に広がる日本化について書かれた本です。
この本は2021年2月に出版された本なので、今の状況とは少し違う部分もありますが、3年弱前にどんなふうに世界が見られていたのかを考えることは、今出回っている情報を判断する上でも重要になると思います。
リーマンショック後に金利が上がるまで7年かかったが、コロナではもっとかかるだろうというのは、むしろ逆で歴史的な金利水準になってしまっていました。
経済は予測できないということを体現していると思いました。
日本化蔓延
コロナ後日本以外の国々でも日本化の特徴に近い現象が見られました。
- GDP成長率の低下
- 物価が上がらない
- 財政の悪化
- 超低金利
コロナでは、日本化を避けるために欧米もかなりの策を打って、日本ほど日本化が進むことを避けることができたと言っています。
一つ面白かったことは、
市場実勢とはかけ離れたレートでの貸付などは緊急避難措置としては必要だが、長期化すれば結局、淘汰されるべき企業が淘汰されず、生産性の低下を招く
と書かれていて、日本長年に渡る長期金利0と現状の日本の状態をある程度表しているのではないかなと思っています。
一方で、淘汰されるべき企業を淘汰した場合、例えば日本でも失業率が10~20%になってしまったら、長期的には新しい企業が生まれたり、それを常識にして、人が慣れていくとは思いつつ、短期的には自殺者が増えてしまう可能性なども懸念されます。
こう考えてみると、すべての国情に合う政策はないので、この「失われた30年」も日本にとって必ずしも悪いとも言えないではないかなと思いだしました。
私達にとっては私達に合うやり方があると思います。
ジョン・ダワーの日本に学びたくない5つの点
- 喜びの欠如: 都市の過密化、貧弱な住居、粗末な公共施設、牛肉やゴルフクラブ、会員権など、ごく普通の楽しみへの法外な値段←こちらに関しては、日本は安く美味しいものが食べられるので、食の喜びは大きいかなと思いました。
- 自由の欠如: 協調行動と集団としてのまとまりを美徳とする←これはよく言われていることであるのですが、協調行動による悪い面ばかりが取り上げられがちですが、いい面もあるんだろうなと思っています。
- 創造性の欠如: 若手レベルのイニシアチブと特性、独創性を抑圧する日本の大学における年功序列制←これは改善していきたいと思いつつも、高齢化が進んだ社会ではある程度年齢の高い人に有利な仕組みになりがちというのも否めないと思います。
- 家庭生活の欠如: 父親が妻や子供達とゆっくり過ごせる時間が滅多にない。サラリーマンが仕事を押し付けられている状況は、欧米人にとって絶対に容認できない←これは個人的には一番大事だと思います。仕事のほうが家庭よりも優先されているケースが多いので、自分は家庭を最優先にしたいです。
- リーダーシップの欠如: 明確な自主的、外交政策を持たずに外交関係にかかってきたため、世界の国々は日本を世界のリーダーとして称賛するとか、本当に信頼するまでに至っていない←この点は普段の自分の生活から少しかけ離れた話であまりピンと来ていないです。
日本は、日本としての楽しみ、喜び、幸せを伸ばしつつも、みんなが将来に希望を持てるような社会に改善できるといいなと思っています。
日本でも、スタートアップ企業は多くないと言われてはいますが、スタートアップ企業を見ると将来を変えたくて頑張っている若者がたくさんいて自分も頑張らなくてはという気持ちになります。
