インドネシアの石油事情(一部のみ記載)
インドネシア共和国(Republic of Indonesia)は、東南アジアに位置する共和制国家。
首都はジャカルタ。約18,000の島から成る群島であり、面積は日本の約5倍。人口は世界第4位で2億3800万人を抱える(2010年推計)。そのうち約60%がジャワ島(Java)、20%がスマトラ島(Sumatra)に集中する。民族の大半はマレー系。宗教はイスラム教(88%)が大半で、他はキリスト教( 9%)、ヒンズー教(2%)など。
インドネシア経済は、1997年以降、アジア通貨危機の影響やスハルト政権崩壊で混乱したが、銀行部門と企業部門を中心に経済構造改革を断行し、2000年末から急速に回復傾向を示した。
過去10年の経済成長率(実質)は平均5%で、2011年には6.5%の高い伸びを達成している。
石油生産は1995 年以降減少傾向にあり、最近は輸入増が目立つ。天然ガスの生産量は2,917BCF、消費は1,460BCF、輸出が1,457CBF(2010年)だが、国内需要拡大が続く見込み。特に、発電向けガス需要が増大しており、輸出は縮小方向にある。
一次エネルギー消費の構成(2009年)は、石油(45%)、天然ガス(23%)、石炭(20%)、その他(11%)。発電源の86%は石炭、天然ガス、石油に依存するが、地熱発電では世界3位の規模を有す。
高い経済成長を実現している反面、電力不足は深刻化。最近の石油価格高騰と国内電力消費増に鑑み、政府は電力原料を石油から低コストの石炭や天然ガスにシフトしており、結果としてLNGなど天然ガスの輸出を削減する方策を実行せざるを得ない。
エネルギー鉱物資源省はMEMR、国営石油会社はPertamina、政府系のアップストリーム・販売会社は BPMinas、国営ガス会社はPGNである。
1.製油所
国内10カ所に製油所があり合計能力は114万B/Dだが、その内4ヶ所が簡易トッパータイプで1カ所はCondensate Splitter。製油所の殆どはPertaminaが運営している。
製油所の投入原油は国産のHeavy/Sweet原油(MinasやDuri)が中心でLSWRの得率が高い。
旺盛な製品需要に対しボトルネックになっている精製能力不足の解消に向けた新増強計画が相次いだが、計画倒れのプロジェクトも多い。現在、国内製油所からの石油製品は内需の64%を充たすに過ぎず、残りの不足分は輸入に依存している。
【Balikpapan製油所(260,000 B/D)】
CDU-1:200,000B/D、 CDU-2: 60,000B/D
東カリマンタンに位置し、Hydrocracker (55Kb/d)を装備している。 投入原油はHandil、Walio、Bekapai、Widuriなど。
増強計画
低硫黄原油の生産減を受け、高硫黄原油の処理を目指す。Hydrocrackerを2016年までに倍増して合計104Kb/dに引き上げる高度化を計画するが検討段階にとどまる。
現在重油生産は約30%だが、現行のSweet crudeからCheaper Sour cudeに変えてCracking unitは50,000B/Dを新設し、高価格の白油、石化原料の生産に変える。CDUも280,000B/Dに増強する予定。
【Balongan製油所(125,000 B/D)】
元々はEXOR(Export oriented refinery)として、三井物産、日揮、BPなどの主導で1994年に建設された。西ジャワに立地し、ジャカルタを中心に製品を供給している。
RFCC(83Kb/d)、アルキレーション(13Kb/d)、重油油脱硫装置(58Kb/d)、Isomerization(22Kb/d)などを持つ近代的な製油所。 RFCCからのFeedstockをプロピレンプラント(180KT/年)に供給している。 処理原油はDuri(70%)、Minas(20%)、Jatibarang(10%)など。
【Cilacap製油所(339,000 B/D)】
南ジャワに位置する同国最大の製油所。Vis Breaker(49Kb/d)を有す。BTXプラント(360KT/年)につながりReformateを供給している。
(FOC-1 Sour:118Kb/d)は、中東の高硫黄原油を処理。Visbreakerと連結。
(FOC-2 Sweet:230Kb/d)は、ArjunaやAttakaなど国内原油のカクテルを処理。
(以下省略)