なぜか“皇帝の名言”が日経に…その1 | フーリガン通信

なぜか“皇帝の名言”が日経に…その1

2013年1月21日、土曜日。いつものように日経新聞を玄関に取りに行った私は、いつも通りその場でざっと一面の見出しを読んで驚いた。
「薬ネット販売解禁へ」 ・・・ 違う。
私が驚いたのは本紙ではなく、別冊のNIKKEIプラス1の方である。それは・・・

何でもランキング
覚えておきたい「現代の名言
座右の銘にしたいのは 

1位 165ポイント
強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ
フランツ・ベッケンバウアー(元サッカー西ドイツ代表)

そして、その右にはロイター提供のあの“皇帝ベッケンバウアー”の凛々しい顔がドーン!
他ならぬ私の“魂”が騒がないはずがないだろう。

この名言、もちろん私は知っているが、多くの日本人が「座右の銘にしたい」って、そんなに有名な言葉だったのか?KAZUや本田圭介じゃなくて、ベッケンバウアーだぜ?
驚いた理由はそんなことだった。

そう思って脚注の調査方法を読むと、名言に関する市販の書籍や雑誌計40冊などに掲載された名言のうち、戦後生まれの人物、戦後に発表された作品の名言を対象にしたとのことで、編集部がリストを作ってインターネット調査を行った結果だという。まあ、発言した本人を知らなくても、その言葉だけで対象者の心に響いただけのこと。意外と底の浅~いランキングだったのね、日経さん。あんまり休日の朝からあんまり驚かさないで下さいよ!まったく。

こんなランキング結果を全国紙で一面使って発表する日経さんはともかく、アンケートに答えた皆様はいったいこの言葉のどういうところに共感したのであろうか?

最近は「名言集」なるものを書店でよく見かけるが、「言葉」というものは、本来、大きな氷山のうち水面に顔を出したわずかな部分のようなものであって、その表層だけを捉えて知ったような口を聞くのは危険ではないだろうか。その言葉は水面下隠れた大きな『魂の塊』が支えているもので、その言葉が紡ぎ出された状況や背景を知らなければ、その本当の意味やメッセージを理解できないと思うのだ。それも知らずに「座右の銘にしたい」って?調査に答えた皆様には申し訳ないが、ちゃんちゃらおかしくて、お話にならない。

だからこそ、本当に皆様が座右の銘にしたいといっているのであれば、その背景を知っている私が語り部として皆様に正しく伝えてゆくのが親切というものだろう。せっかくの機会なので、このフーリガン通信で今からその時のことを語ろう。

この「名言」が語られたのは、1974年の夏。フランツ・ベッケンバウアーがサッカー西ドイツ代表(当時はドイツは東西に分離していた)のキャプテンとして、地元で開催された西ドイツW杯の決勝を戦った直後のことであった・・・・

・・・・で、続きは次回のお楽しみ~♪

魂のフーリガン