日本サッカー協会の“内憂外患” | フーリガン通信

日本サッカー協会の“内憂外患”

「内憂外患」とは、国内の心配事と、外国との間に生じるやっかいな事態。内にも外にも憂慮すべき問題が多いことを意味する。


国内外に問題山積の民主党政権にピッタリの4文字熟語であるが、いえいえどうして、我が日本サッカー協会も負けてはいない。


1月22日、日本サッカー協会(以下JFA)はスペインサッカー協会とパートナーシップ協定を締結した。JFAは4月をめどに育成年代の指導者を養成する機関を設置し、その設立と運営においてスペインサッカー協会から人的支援、技術指導、情報提供などの協力を仰ぐという。


都内で行なわれた調印式には犬飼JFA会長とスペインサッカー協会ビジャル・ジョナ会長が出席。犬飼会長は日本人とあまり体格が変わらないスペインサッカーのノウハウからは「たくさん学べることがある」と語った。


なお、他にも審判員の技術向上や、両国が立候補する2018、22年のW杯招致(スペインはポルトガルと共催)でも協力する可能性を示唆した。(競合する立場での“協力”ということは、候補に漏れた国がもう一方を支援するとか、2つの大会を合おうという魂胆なのであろう)

※当件に関する詳細はこちら→JFAのHPから


スペイン代表は現欧州チャンピオンで、南アフリカW杯でもジダンが優勝候補に上げるほどの強豪国。クラブレベルでもバルセロナが世界の頂点に立ち、世界のFootballをリードしているのは間違いないし、岡田監督もスペイン代表やバルセロナのパス・サッカーを手本にしているのは間違いない。フランスがW杯とEURO2000を制した頃はフランスの若手育成体制を模倣したJFAであるから、つい「今度はスペインかよ!」とツッコミを入れたくなる所だが、もともとアフリカ人移民が多いフランスの真似をするよりも方向性は近いだろう・・・


・・・と、納得したつもりであった私であったが、その後「ある事実」を知って愕然とすることとなる。


何と、このスペンサッカー協会の会長は日本に入る直前の1月20日に韓国に立ち寄っていた。その目的は韓国とスペインサッカー協会の相互協力のための両者各書締結調印式への参加であった。


スペインサッカー協会会長でありながら国際サッカー連盟(FIFA)副会長でもあるビジャル・ジョナを仁川国際空港に出迎えたのは、FIFAのチョン・モンジュン副会長(ビジャル・ジョナ氏と同格・7名の副会長の1人)、大韓サッカー協会(KFA)のチェ・ジョンジュン会長、W杯招致委員会のハン・スンジュ委員長というフル・ラインナップだった。


21日に締結された同各書には韓国-スペイン両国の技術支援、指導者教育、ジュニアユース育成、審判及び行政・法律など、各分野での相互発展と交流のための法案が含まれている。当然のことながら韓国が立候補している2022年W杯招致への協力も要請している。しかも、スペイン・ポルトガルW杯招致委員長でもあるビジャル・ジョナ会長の長男の奥さんは韓国人・・・血縁関係まで揃っている。


日本と韓国のサッカー協会、どちらの“外交能力”が優れているのか。上記の事実だけでも明らかであるが、決定的な事実がその差を裏付ける。


1月22日に日本は南アフリカW杯後にスペインと親善試合を行うことで合意したと発表。日程も場所も未定とのことだった。そしてもう一方の韓国は、南アフリカW杯前の6月3日にスイスのインスブルックでスペインと親善試合を行うことを発表した。本大会前に優勝候補と対戦できる韓国。しかも、その発表は日本の発表のあとの26日である・・・


図らずも致命的ともいえる外交能力不足を露呈した日本サッカー協会。スペイン-韓国戦の発表があった26日、JFAと川淵名誉会長、犬飼会長は「週刊新潮」昨年11月26日号の記事「『旭日重光章』受賞でも『川淵三郎』が浴びたブーイング」で名誉を傷つけられたとして発行元の新潮社に対し、3千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて東京地裁に提訴した。


いったい何をやっているのだろうか・・・


川淵さん、犬飼さん、「内憂外患」という言葉の意味がわかりますか?


魂のフーリガン