岡田式“骨盤シュート”の効用 | フーリガン通信

岡田式“骨盤シュート”の効用

カルガリーでの冬季オリンピック間近であるにもかかわらず、ワールドカップ・イヤーということでサッカーに関する報道が多い。世界のスポーツであるFootballが、欧州や南米のように日本でも“文化”となる日を夢見ている私としては、大変ありがたい傾向である。


1月25日にスタートした日本代表の指宿合宿の様子も、「どういうことをどれくらいやった」か、「誰が何をやったか」等々、色々なメディアを介し、映像、画像、音声、文字で細かく情報が提供されている。普段から日本代表に関心を持っている人なら、その情報だけで今後の日本代表について様々な想像ができる。


そんな楽しみは楽しみとして、今日は久々に吼えたい。


日本代表の練習風景を紹介するTVニュースで、私はある“光景”を見た。全体練習が終わってから、何でも決定力不足に悩むという日本代表FW陣に対し、岡田監督自らがシュートの打ち方を指導していたのだ。


「こうやって骨盤を前に、軸足に乗せて・・・」 


具体的にどう言ったかの記憶は定かではないが、報道によれば「骨盤を意識しながら軸足に体重を乗せ、強く踏み込むフォーム」をFW陣に伝授したという。


マスコミは好意的に報道していたが、私は目と耳を疑った。はぁ?代表選手にシュートの打ち方指導ですか?しかもW杯の半年前になって・・・


曲がりなりにも日本(今回は国内組)で最も優れたFW達である。そこにいるFWたちは、その一人ひとりが長年の経験から自身のシュートのスキルを会得し、実績を出してきたはずである。だからこそ選抜されて、この合宿に参加しているのではないか。


選手の体格はそれぞれ違う。プレイスタイルも持ち味も違う。野球のバッティングフォームが一人ひとり違うように、キックのフォームだって自分にあった蹴り方というものがある。だから、フォームを崩している選手への個別指導なら分かるが、全員集めて蹴り方を伝授するとは・・・


百歩譲って岡田監督の理論と指導が正しいとするならば、日本代表にはシュートの打ち方も知らない”選手が集まっているということになる。シュートの上手い下手は個々のスキルの問題。ならば、最初からシュートの上手い選手を選んで欲しい。それこそが代表監督の仕事である。


ベッカムはどんな体勢からでもしっかりと軸足を置き右足のインフロントとインサイドの間の部分を使って強くカーブを掛けたボールが蹴れる。ロマーリオは状況に応じて、足のあらゆる部分を柔軟に使ってボールを空いたスペースに流し込める。そしてC.ロナウドは打点だけに全てのパワーを集中して、フォロースルーなしで強烈なシュートを放つ。彼らは皆、自分自身のオリジナルの“型”というものを持っているのだ。


岡田監督、原技術委員長よ。そんなに優れた理論なら、全国の育成年代で指導しろ。代表合宿はチーム戦術を徹底し連携を深める場である。


素直に教わる代表選手の方も考えものである。監督に教わった通りに蹴ってみて、「強いシュートが打てました!」・・・中学生じゃあるまいし。代表選手はTop of the Topsなのだ。感心している場合ではないことをまず自覚すべきだ。


マスコミもマスコミだ。こんなに恥ずかしいことを嬉々として報道するとは何事だ。あなた方の仕事は「こんな低レベルの練習」をしている代表を批判することだろう!


もう一度、繰り返す。代表選手たちよ。

代表合宿は習う場所ではない。自身の力を示す場である。そうして自分をアピールするのだ。

そのために日々の練習がある。シュートやキックは一人ひとりが自主トレでフォームを固めるものだ。何度も何度も練習して、失敗してはトライして、そうして自分に合った独自のスタイルを確立しろ!そして、その個性で食っていけ!!


それがプロというものだ。私はそう思う。


魂のフーリガン