世界得点王・岡崎慎司の価値 | フーリガン通信

世界得点王・岡崎慎司の価値

またまた一週間以上前の話題で恐縮であるが、1月10日、清水エスパルスの日本代表FW岡崎慎司が“世界得点王”の座に輝いたというニュースを見た。

これはFIFAによるものではなく、IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)とかいう組織がは9日に発表した2009年の年間世界得点ランキングによるものである。


私自身このIFFHSなる組織のことは知らなかったが、この組織、この他にも年間最優秀クラブや、年間最優秀監督、最優秀選手など、実に多くの“部門賞”を発表しているらしい。最優秀クラブ:バルセロナ、最優秀監督:グアルディオラ、最優秀代表監督:デル・ボスケとそれぞれお約束の受賞であったから、最優秀選手もてっきりメッシだろと思いきや、何と“シャビ・エルナンデス”。そんなことで、いきなり「ほっ~!」と、このIFFHSのランキングの確かさに感心してしまう自分も情けない。 


で、肝心の世界得点王ランキングのつけ方であるが、各選手の国家A代表での公式戦と所属クラブの国際大会における合計ゴール数により算出され、ゴール数が並んだ場合はA代表での得点が多い選手が上位となるという。


その結果によるランキングの上位10選手は以下の通り。


選手名に続いて赤で(所属クラブ/国籍)、青で対象ゴール数(A代表公式戦ゴール数/所属クラブ国際大会ゴール数)となる。

1位:岡崎慎司(清水エスパルス/日本) 15(15/0)
2位:ディディエ・ドログバ(チェルシー/コートジボワール) 15(8/7)
3位:アブデルマレク・ジアヤ(アルイテハド/アルジェリア) 15(0/15)
4位:ダビド・ビジャ(バレンシア/スペイン) 14(11/3)
5位:カルロス・パボン(レアルCDエスパーニャ/ホンジュラス) 14(9/5)
6位:ルイス・ファビアーノ(セビージャ/ブラジル) 13(11/2)
7位:ムリソ・ヌガッサ(ヤング・アフリカンズFC/タンザニア) 13(8/5)
8位:アラン・ディヨコ(マゼンベ/コンゴ民主共和国) 13(5/8)
9位:エディン・ジェコ(ボルフスブルク/ボスニア・ヘルツェゴビナ) 12(8/4)
10位:ミラン・バロシュ(ガラタサライ/チェコ) 12(6/6)
    ブライアン・オモニー(スーパースポート・ユナイテッド/ウガンダ) 12(6/6)

と言うわけで、「生涯ダイビング・ヘッド」の我らが岡崎が確かに1位。あのドログバや、ビジャ、ルイス・ファビアーノを抑えているではないか。


しかも、清水エスパルスがAFCチャンピオンズリーグに参加していないため、クラブ国際大会ゴールはゼロで、その15点はすべてA代表でのゴールである。代表戦だけに限れば、いかに岡崎が数多くゴールネットを揺らしたかが良く分かる。


因みに岡崎の代表15点の内訳は以下の通り。対戦相手と得点を並べてみた。

イエメン-1、フィンランド-2、チリ-2、ベルギー-1、ウズベキスタン-1、ガーナ-1、香港-3、トーゴ-3、香港-1


確かにW杯最終予選5ゲームのうちではウズベキスタン相手に上げた1点のみで、あまり活躍した印象は少ない。南アフリカW杯出場国との親善試合でもチリとガーナから点を取っただけ。オランダ、豪州、南アフリカには沈黙した。そんな内容にはまだまだいくらでもケチのつけようがあるだろう。だから、たとえ世界一の得点王であってもまだ海外から声も掛からない。


しかし、サッカーにおいて、相手がどうであれ互いに国家を背負った国際試合でゴールをあげるのは大変なことなのだ。実際にW杯でも得点王のゴール数は減っている。出場国が増え消化するゲーム数は増えたのに。


クラブチームで得点を量産しても、国際試合でなかなか結果が出ないケースも世界中でよくある話。

そこでクラブでの岡崎の2009年の成績を調べてみた。


清水エスパルスは2009年リーグ戦、ナビスコ杯、天皇杯で41の公式戦を戦った。そこでの岡崎の得点は合計17。その得点率は1試合で0.41得点と言う計算になる。


一方で代表での彼のゴールは16ゲームで15得点。1試合0.94得点という驚くべき数字になる。さらに彼の出場時間から割り出してみると、彼は約80分で1点を取っているのだ。


その「いじられキャラ」ゆえ、どうも怖さと言う表現が似合わない岡崎であるが、彼はコンビネーションができているはずの所属クラブよりも、代表でその得点能力が高まると言う「恐ろしい」進化型ストライカーなのである。


南アフリカで彼が活躍できるかどうかは分からない。しかし、実際に何度かゴールネットを揺らすことができれば、大会後に今度こそ海外から声がかかるであろう。そして、そこに良いパサーがいれば、彼のように勇気があり点で勝負できる選手は、たとえ屈強なDFがいるチームが相手でも、多くのゴールを決めることができるはずだ。


点を多く取ったチームが勝つスポーツである。だから、やっぱりFootballは点を取る奴が一番偉い。岡崎の代表での得点に所属クラブでの国際大会でのゴール数が加わる日、人々はもう少し、岡崎の凄さがわかるだろう。


その時、岡崎はどんなユニフォームの胸を汚しているだろうか。そのダイビング・ヘッドで・・・

その夢は“喜望峰”の先にある。


魂のフーリガン