悲しすぎる悲報 VVV吉田麻也 | フーリガン通信

悲しすぎる悲報 VVV吉田麻也

112日、共同通信配信のニュースに思わず私は固まった・・・

J1名古屋からオランダ・エールディビジのVVVフェンロへの移籍が内定していたDF吉田麻也が11日、VVV合宿先のトルコで行われた練習試合で足の甲(指との報道もあり)を骨折した。関係者によれば全治2ヶ月の見込みとのことで、早期のプレー再開はどうやら難しいらしい。


吉田は16日のアジア杯最終予選イエメン戦で初めて日本代表に選ばれ、ゲーム後にイエメンからそのまま欧州に向かい8日にチームに合流し、トルコ合宿に参加していた。


本田圭祐を放出したVVVフェンロが吉田に用意した条件は契約期間3年半、年俸はEU域外選手に対する最低保証額の約50万ユーロ(約6550万円)を数万ユーロ上回ると言われていたが、実は24日に入団記者会見が予定されていた吉田は、残念ながらまだ正式契約を結んでいない。


シーズン途中の1月市場での移籍選手は通常そのシーズンの補強・即戦力として期待されるだけに、この「全治2ヶ月」という時間は長すぎる。しかもFWならゲーム途中から出場しても個人の力量で何とかなるが、カバー戦術やマーキングなど周囲との連携・組織力が問われるDFはただでさえ新チームへのアジャストに少なからず時間を要するはずである。


回復の見込み等の詳細が不明な現段階ではVVVの強化担当者は「今回の負傷で移籍がなくなるかどうかは分からない」とコメントしているが、「分からない」というコメントが出ること自体、この移籍がご破算になる可能性が高いということだろう。


冷たい話ではない。VVVがマンUやバルサ、レアルのような戦力豊富なクラブであれば、将来のある吉田が契約破棄になる可能性は低い。もともとじっくり育てる余裕があるし、クラブも長い目で選手を見ているからだ。


しかし、VVVは今季1部に昇格したばかりで現在18チーム中9位と善戦しているが、ご存知の通り大黒柱の本田を放出したばかり。その後釜としてフローニンゲンからウルグアイ人のゴンサロ・ガルシアを獲得したようだが、同選手は前クラブで監督と折り合いが悪くリザーブにいた選手で、条件も買い取りオプション付きの6ヶ月契約、「短期的後継者」でしかない。従って本田を出した後の補強は十分ではない。


そんな状態のクラブが今シーズン終盤まで使えない怪我人を必要とするだろうか?少なくとも私がVVVのフロントであれば、吉田と契約はしない。吉田には酷な話であるが、クラブとしてはむしろ契約前の事故であったことが「不幸中の幸い」とホッとしていることだろう。狙った選手の怪我は“誤算”ではあるが、契約前のため“損失”には至らない。


吉田にとっては最悪の事態であろう。目の前にあった欧州移籍が当面なくなる可能性が高い上に、せっかく呼ばれた日本代表にしても、その位置付けはDFの「バックアッパー候補」であっただけに、もう6月のW杯本大会メンバーに選ばれることはないだろう。まさに彼にとってのトルコ合宿は“骨折り損のくたびれもうけ”という表現そのままである。


吉田は14日にオランダに戻り、医師の判断で手術の要否が判断されるという。手術をしなくて済む骨折の場合は朗報に聞こえるが、骨がくっつくまで運動ができないため、器具で繋ぐよりもリハビリに時間が掛かる。契約前の選手にとっては深刻な気持ちはよく分かる。


しかし、怪我を負ってしまった以上はどうしようもないことも事実。187cm、81kgの当たり負けしない体躯と周囲に愛される明るいキャラクターを持つ21歳の将来がなくなった訳ではない。恐らくかつてベッカムやオーウェンが負った骨折と同様箇所と思うが、先輩達もしっかりリハビリをして復活を果たしている。すぐにプレーができなくても、そして最悪の場合VVVと今季契約が出来なかった場合でも、吉田には輝くべき将来がある。それもまた変わらない事実である。


だから吉田よ、骨は折ったが心は折るな。骨は一定期間で治るが、心の治療は時間が掛かる。


魂のフーリガン


p.s. 通常は本契約前の「仮契約」が存在しているはずである。そこで本契約前のこのような不測の事態について吉田に有利な条件が盛り込まれていることを祈っている。魂のフーリガンは意外と優しい・・・


追伸:

1月13日の一部報道によれば、VVVのクラブ幹部は「獲得を控えるようなたちの悪いケガではない」と話しているとのことで、近日中に正式契約が結ばれる見込みとのこと。

最悪の事態は避けられた。あとは吉田の一日でも早い回復を祈るばかりである。