EURO前の独り言 | フーリガン通信

EURO前の独り言

いよいよ6月。EURO(欧州選手権)である。各国リーグが終わり、欧州CLも終わった。日本はW杯3次予選なのだが、やはりEUROなのだ。


なぜEUROが面白いか。理由は簡単、ハズレがない。世界最大のサッカーの祭典は間違いなくW杯であるが、残念ながらW杯には全世界の地域からそれぞれの代表国が参加する大会であり、残念ながらアジア、アフリカ、北中米、オセアニアといった、お世辞にも世界のトップレベルと呼べない国、いわゆる“お客様”が参加する。従って純粋にレベルの高いサッカーを観たいと思う私のようなFootballファンにはどうでもよいゲームが存在する。


しかしながら、EUROは予選で強豪国を散らし、欧州の国々をシャッフルしてホーム&アウェイで戦うだけに、その予選を勝ち上がってくる参加国には、開催国以外で“お客様”は存在しない。その証拠に、1992年大会では大会直前に政治的理由で大会出場を辞退したユーゴスラビアの代わりとして急遽参加したデンマークが優勝したり、まだ記憶に新しい前回2004年大会では、殆ど無印のダークホースであったギリシャが優勝してしまった。ご存知の通り、ギリシャはその2年後のドイツW杯に出場すらしていない。欧州のレベルがいかに高いレベルで均衡しているかがわかるであろう。


そんなEUROであるが、今回は何かが足りない。多くの読者がそう感じているだろう。それはイングランドの不在である。DFファーディナンド、テリー、A.コール、W.ブラウン、MFランパード、スコールズ、ハーグリーブス、キャリック、J.コール、FWルーニー。GKは欠けているが、彼ら10人が何を意味しているか判るだろうか。彼らは5月21日、モスクワで行われた欧州CL決勝、マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーのスターティング・メンバーに名を連ねたイングランド籍の選手たちである。既に代表引退をしているスコールズを引っ張り出す気は無いが、代わりには欧州CL準決勝でチェルシーに敗れたリバプールからジェラードを引っ張って、あとはどっかのクラブからGKを連れてくればよい。そんなイングランドが、世界一の国内リーグを持ち、世界最高峰のクラブを決める欧州CLのベスト4に3つのクラブを排出する国の代表が出場していないのである。


70年代始めにイングランド・フットボールの洗礼(当時は“三菱ダイヤモンド・サッカー”という番組しか海外のサッカーを紹介しておらず、イングランド・リーグを中心に放映していた)でFootballに魅せられていった私からすると、一時はワールドクラスと呼べない時期もあったが、今の“強いはず”のイングランドがEUROに名を連ねないのは寂しい限りである。しかし、一度観方を変えれば、そのイングランドを予選で破ったクロアチア、ロシアが今回のEUROを制さないと誰も言えない。それがEUROなのである。


私事ながら本業が一番忙しい6月を丸々使って開催される大会だけに、愛するイングランドが出場した前回大会ほどゲームを追っかける訳にはいかないが、グループリーグからイタリア、フランス、オランダ入ったグループCなどは、フットボール・フリークなら観るなという方が酷と言うもの。3強の直接対決はもちろん、それぞれが伏兵ルーマニアとどう闘うかも興味が尽きない。あと一週間、私の頭の中はクリスティアーノ・ロナウドが駆け上がり、シャビ、イニエスタ、セスク・ファブレカスの粋なパス交換に観客から“オレ!”の歓声があがり、アンドレア・ピルロのロング・フィードが飛び交うのだ。よいではないか、仕事は仕事、EUROはEURO、フットボールはフットボール、それぞれをリスペクトしようではないか。


そうそう、その前に我が日本代表のオマーン戦がありました。健闘をお祈り・・・とんでもない、“完勝”以外は許さない。


魂のフーリガン