巨匠 宮崎駿が次期製作の際に訪れ後の名画「千と千尋の神隠し」のモデルにもなったほか、数々の文学芸術作品の舞台として取り上げられてきた積善館。




群馬県四万温泉の山間に悠然と佇むその旅館は今年建立324年を迎える。




古くは三遊亭圓朝といった噺家、芸人や武士などから明治時代の柳原白蓮ら歌人、文豪、更には政治家、そして戦時中は軍人たちと、幾世代にも渡り数多なる訪ふ人々の心と体を癒してきた。




それは今日も、明日も相変わらずに この永き歴史と代々の意志とを紡ぎ続けてゆく。




本館は元禄4年(1691年)に建てられた日本最古の木造湯宿




桃山様式造りを取り入れている山荘と佳松亭




大正時代のロマネスク様式でデザインされた「元禄の湯」




またここは日本でも数少ない飲むことによって効果のある「飲泉」でもあり、それらの理由も相まって国民保養温泉地第一号と、文化庁の有形文化財に登録されている。




帳場には映画宛ら実写版の千(千尋)がおり案内役を勤め




夕暮れになると何処からともなく「カオナシ」もやってき「ァ…ァ……ア………」と、、
残念哉、砂金は出てこずも客人も喰わぬが。




庭に




館に




そして泉に




随処に映え溢る歴史の彩りと




この渡る紅い橋の向こうで繰り広ぐ物語。




是迄どれほど沢山の旅人たちに愛され、贔屓され続けてきたことだろう。




建立400年記念の往訪は叶わぬ夢であろうが、350年目の祭時は果たして共に祝うことが出来るだろうか。




否 それはきっと我が子たち孫たちが 自分等に代わり叶えていって呉れるに違いない。
時新たにして 今度は彼らの物語が刻まれる筈だ。




「何もありませんが 何もしない贅沢がここにあります」積善館拝



積善館/いつも何度でも「千と千尋の神隠し」より(木村弓)