髪の水分調整のしくみについて。
髪は数十本の乾燥芋のようなコルテックスを少しずつずらして束ねてつくった長い縄の周りに、薄くて小さなキューティクルの透明な板をかわらのように重ねて貼り付けたような構造をしています。
しかし、コルテックスやキューティクルだけでは、強く押しつけたとしてもバラバラになってしまうので、それらをCMC(細胞膜複合体)と呼ばれる接着剤で貼り付けています。
このCMCという接着物質は、私たちが普通に考える接着剤とは違い、コルテックスやキューティクルを貼り付けていながら簡単にずれることができます。
つまり、紙にボンドをつけて貼りあわせるという意味ではないのです。
CMCの接着性は食パンにバターをぬって、その上に食パンを重ねて2枚のパンを貼り付ける状態と似ています。
食パンを少しずらしても2枚のパンは接着しているでしょう。
このような接着剤で貼り付けられているために、髪は曲げたりしても形を保てるだけではなく、水や薬液を吸って大きく膨れあがっても、コルテックスはバラバラにならず、キューティクルは膨潤にあわせて少しずつズレながらも表面に張り付いているのです。
そしてCMCは接着剤の役割だけでなく、水や皮脂(アブラ)の通り路としての仕事を請け負っています。
髪はもともと水が嫌いな素材で、過剰に吸った水を外に吐き出すように作られています。また、毛穴からでてくる皮脂を毛先まで搬んで、水を吸いすぎないように、また乾燥しないように調節しています。
髪自体の保湿はエンドキューティクルやコルテックスの中にあるマクロフィブリル間領域が担当しています。
この領域はケラチンのような水が嫌い(疎水性)なタンパク質ではなく、私たちの体を作っている細胞のタンパク質や脂質の残骸が圧縮されたようなもので、髪自体は水が嫌いと書きましたが、一方で水を吸いやすい場所もちゃんと持っています。このような組織を髪の中に残して、キューティクルの開け閉めしたり、髪を乾燥しすぎないよう調整しているわけですから、髪ってすごいと思いませんか?