話しているうちに
駅に着いて改札を通り抜ける。
「電車、どっちですか?」
違う方向なら
ここでお別れ…
『2番線』
同じ電車だ。
「あ、じゃあ僕と
同じ方面ですね!」
もう少し一緒にいれる。
『やっぱり!』
やっぱり?
君から返ってきた
予想外の言葉に少し驚く。
「やっぱりって?」
『実はこの前電車で
テミン君を見かけたの!
私が降りる1つ手前の駅で
降りて行ったから
テミン君も同じ電車なのかな
って思ってたの』
「ちんちゃ!?
僕、何してました?
話しかけてくれれば
良かったのに…(笑)」
いつの電車だろう?
見られてたんだ…恥ずかしい。
『ごめんね(笑)
携帯ずっと見てたし、
まだあの時は廊下で
ぶつかった後だったから
私のことなんか
覚えてないかなって思ったの』
「まさか、覚えてるに
決まってるじゃないですか」
つい本音が出てしまった。
あの日から僕は
君に会いたくて
仕方なかったんだから、
忘れるはずがない。
その想いが言葉に出てしまった。
黙ったままの君を見て
しまった、と思った。
どういう風に
受け取ったかな?
「あの…
気軽に話しませんか?
僕らもう友達でしょ?」
正当化するように
友達という言葉を使った。
『友達?』
「うん。友達!」
『ふふっ そうだね』
笑いながら君は言った。
"友達"
今の僕に許された関係。
自分で言っておきながら
何傷ついてんだろう…
ー 次は⚪︎⚪︎駅に停まります。ー
もう次が降りる駅だ。
君と過ごす時間は
あっという間に終わる。
「また同じ電車になるかも
しれないですね」
『そうだね』
「次会ったときは
テミンって呼んで下さい」
『え?』
「"テミン君"って呼んだら
罰ゲームで飲み物奢ること!」
『ずるい!(笑)』
「じゃあ僕はタメ口にします。
タメ口じゃなかったら
僕が飲み物を奢る。
どうδvδ?」
少し強引だったかな?
でも僕を後輩としてじゃなくて
男として見てほしい。
『わかった』
また会えたときの約束。
君と最初の約束。
今は友達でもいい。
君のそばで笑顔を見れるだけで
僕は嬉しくて幸せなんだ。
降りる駅に着いて
プシューッとドアが開く。
「じゃあまたね、ヌナ」
『うん、バイバイ!』
"ヌナ"
自分で言っておきながら
ドキドキしている。
きっと自分ばかりが
こんなにときめいてるんだろう。
僕はこの時
友達でもいいから
ヌナのそばにいたいと、
そう思ったんだ。
この気持ちがこの先どんなに
自分を苦しめるとも知らずに。