「ごめんなさ…」
『大丈夫ですか?』
目が合った瞬間に、
私はあなたが誰だか分かってしまった。
真っ直ぐな瞳、
鼻筋の通った綺麗な顔、
すらっとした細い足。
まるで王子様のような…
『あの…』
あなたの声で私は我に返った。
ー そうだ謝らないと。
そして早く彼の元へ行かないと。
「い、いきなり飛び出して
ごめんなさい!」
『こちらこそすみません。
前を見て無くて…』
あなたは支えるように
私の両肩を掴んでいた。
綺麗な男の子を目の前にすると
こんなに緊張するものなのか、
と言わんばかりに
鼓動が早くなっていくのが分かった。
『痛くなかったですか?』
「全然大丈夫です!
そちらこそ大丈夫ですか?」
『大丈夫です。
ありがとうございます』
あなたは少し微笑みながら言った。
この笑顔に今まで何人の女の子が
胸をときめかせたんだろう。
「本当にごめんなさい!
じゃあ…」
ペコッと頭を下げて
その場を逃げるように去った。
あなたの手が触れていた部分が
まだ少し熱くて、
鼓動も落ち着かない。
ー だから苦手なんだ。
自分をうまく保てなくなるから。
元々男の子は少し苦手。
ましてやあんなに綺麗な男の子と
話したことなんて一度もなかった。
そういう機会を避けていた
せいもあるだろうけど…
急ぐことも忘れて
そんな事を考えていたら
いつの間にか彼の姿が目の前にあった。
「ごめん、待った?」
全然待ってないよと
優しく微笑んで許してくれる彼。
帰ろうか、と握られた手から
伝わる彼のぬくもり。
私はこの安心感で包み込んでくれる
大きな手が好き。
彼が笑顔になるとつられて
私も笑顔になって、
幸せだなあって心から思う。
この幸せがずっと続けばいい。
