与太郎外伝 第一章 6
テルだ!知らせずにすまなかったが…先週は、著者の名和 広 氏が急病で…休刊を頂きました!ごめんなさい。
列車の窓越しではない、リアルな廃虚ホームの異様さに光浩達は圧倒された。
異様というよりも威容といった方がいいかもしれない。
相対式のホームに二面二線を有する高架駅というのは、見慣れた光景だったが、両ホームには、線路を跨ぐ格好で、アーチ状の鉄骨上屋の残骸がそびえ立っていた。
「この屋根みたいな鉄骨、一体なんだろう?」
不思議に思いながらも、階下へと懐中電灯片手に下っていく。
もはや、腐食しているのだろう。足を踏み入れる都度、階段のコンクリートはボロボロ崩れ落ち、光浩らをたじろがせた。
「おいおい、こんなボロ駅の下敷きになってお陀仏になりたくねーよなぁ」
「今地震が起きたら一発でオジャンだぜ!」
それぞれが思い思いに悪態を付き、笑い合っていたその時だった。
「お前ら、ここで何してるんだ!?」
ドスの利いた声が光浩達に投げ掛けられた。
その瞬間、悪ガキ全員の心臓が止まったかに見えた。
だが、勇気を振り絞り、恐る恐る声の主がいる方角に振り向いた時、光浩らは戦慄した。
年の瀬になってきたな!
今年はどんな年だったのかな?
来年はどんな年にしたいのかな?
どうぞ、素敵な年末を…
さて、続きをどうぞ…
~・~・~・~・~・~・~・~・~
この時、光浩らは、全てが静止していたかに感じた。
森羅万象全てが止まり、周囲一体が真空状態になったかのように思えたのだ。
たが、そんな静止状態を破ったのは、光浩のくぐもった声だった。
「みんな、チャリを下に捨てろ!」
光浩に言われるがままに、それぞれが橋梁下の歩道へと、自転車を投げ捨てた。
その刹那、大きなクラッシュ音が列車の汽笛とともに静寂の闇を引き裂いた。
列車は、前方5メートルまで迫って来ている。
「よし!柱に掴まるぞ!」
悪ガキどもは、橋梁の鉄柱にと、精一杯の力を振り絞ってしがみついた。
光浩らの僅か横1メートルを列車がけたたましい音を立て、横切って行く。
列車はまるで大型の肉食恐竜の如し迫力で、その風圧に悪ガキどもは橋梁下に吹き飛ばされそうになった。
しかし、列車は横浜方面へと去って行き、列車の前照灯もムギ球のように小さくなり、やがて闇夜に消えていった。
「おい! みんな無事か?」
光浩が全員の安否を確認する。
「お・おう、俺は無事だよ…」
「俺もだ…」
「俺も…」
「ハハハ、なんてことはなかったな」
全員、九死に一生を得て、余裕の態度を見せるも、顔色は未だ蒼白のままだった。
光浩らは、気を取り直して、再び、目的地・平沼に向かって歩いて行く。
「俺達のチャリ、大丈夫かな?」
悪ガキ仲間の一人が不安そうに、そう呟いた。
「大丈夫だろ。夜中に壊れたガキのチャリ盗む大人はいねぇよ」
どこまでも、ポジティブな光浩だった。
光浩らが九死に一生を得た戸部橋梁からは目と鼻の先で、先程の恐怖体験を取り留めもなく語り合っているうちに、
念願だった平沼の廃虚ホームが視界一面に広がった。
森羅万象全てが止まり、周囲一体が真空状態になったかのように思えたのだ。
たが、そんな静止状態を破ったのは、光浩のくぐもった声だった。
「みんな、チャリを下に捨てろ!」
光浩に言われるがままに、それぞれが橋梁下の歩道へと、自転車を投げ捨てた。
その刹那、大きなクラッシュ音が列車の汽笛とともに静寂の闇を引き裂いた。
列車は、前方5メートルまで迫って来ている。
「よし!柱に掴まるぞ!」
悪ガキどもは、橋梁の鉄柱にと、精一杯の力を振り絞ってしがみついた。
光浩らの僅か横1メートルを列車がけたたましい音を立て、横切って行く。
列車はまるで大型の肉食恐竜の如し迫力で、その風圧に悪ガキどもは橋梁下に吹き飛ばされそうになった。
しかし、列車は横浜方面へと去って行き、列車の前照灯もムギ球のように小さくなり、やがて闇夜に消えていった。
「おい! みんな無事か?」
光浩が全員の安否を確認する。
「お・おう、俺は無事だよ…」
「俺もだ…」
「俺も…」
「ハハハ、なんてことはなかったな」
全員、九死に一生を得て、余裕の態度を見せるも、顔色は未だ蒼白のままだった。
光浩らは、気を取り直して、再び、目的地・平沼に向かって歩いて行く。
「俺達のチャリ、大丈夫かな?」
悪ガキ仲間の一人が不安そうに、そう呟いた。
「大丈夫だろ。夜中に壊れたガキのチャリ盗む大人はいねぇよ」
どこまでも、ポジティブな光浩だった。
光浩らが九死に一生を得た戸部橋梁からは目と鼻の先で、先程の恐怖体験を取り留めもなく語り合っているうちに、
念願だった平沼の廃虚ホームが視界一面に広がった。
列車の窓越しではない、リアルな廃虚ホームの異様さに光浩達は圧倒された。
異様というよりも威容といった方がいいかもしれない。
相対式のホームに二面二線を有する高架駅というのは、見慣れた光景だったが、両ホームには、線路を跨ぐ格好で、アーチ状の鉄骨上屋の残骸がそびえ立っていた。
「この屋根みたいな鉄骨、一体なんだろう?」
不思議に思いながらも、階下へと懐中電灯片手に下っていく。
もはや、腐食しているのだろう。足を踏み入れる都度、階段のコンクリートはボロボロ崩れ落ち、光浩らをたじろがせた。
「おいおい、こんなボロ駅の下敷きになってお陀仏になりたくねーよなぁ」
「今地震が起きたら一発でオジャンだぜ!」
それぞれが思い思いに悪態を付き、笑い合っていたその時だった。
「お前ら、ここで何してるんだ!?」
ドスの利いた声が光浩達に投げ掛けられた。
その瞬間、悪ガキ全員の心臓が止まったかに見えた。
だが、勇気を振り絞り、恐る恐る声の主がいる方角に振り向いた時、光浩らは戦慄した。
つづく…
※この物語は、限りなくノンフィクションに近い、フィクションである。
著 名和 広