与太郎外伝 第一章 5
テルだ!12月だな!今年も残すところ、後一月…早いもんだなぁ……なんて言わねぇよ!俺にとっては今年は長かった!
周辺は閑静な住宅街だったが、夜ということもあるのだろう。
まだ緑を残している自然との調和が些かミスマッチに見える、ある種の無気味さを湛えた場所だった。
光浩が連れて来た件の石段も、確かに存在していた。
屋根のないトンネルとでも形容すべきか、石段から見下ろしたその光景は、広い褐色の側溝の下を線路が何処までも延びているような、奇怪な雰囲気が漂っていた。
「おい、こんなとこ、降りるのかよ?」
「いいじゃん! こんなとこ、チャリで走れるなんてワクワクするだろ(笑)」
全く動じない光浩に背中を推された面々は、それぞれ自転車を掲げながら、石段を下って行った。
光浩らが乗った自転車は、目的地である平沼に向かって、足場の悪い枕木の上を
一列に並んで走り出した。
「なんだか、気分いいなぁ! みっちゃん、さっきはつかかって悪かったなぁ」
「おう、いいってことよ! しかし、何だろう。この夜を制したような爽快な気分は」
「ハハハ、ガキがナマ言ってらあ」
「お前らも、ガキだろう(笑)」
それぞれが、想い想いの軽口を叩いている時だった。
プアァァァァアン
静寂の闇夜を引き裂くような汽笛音が光浩らの心臓に思いっきり響いた。
後方を振り向く光浩らの視界に飛び込んできたのは、終電を終え、回送列車となった京浜急行の先頭車両であった。
列車は、光浩らの後方、20メートルまで迫って来ている。
「うわっ、電車じゃねーかよ!」
「みっちゃん、まだ電車走ってんじゃねーかよ!」
「このままじゃ、俺達轢かれちまうよ!」
「おい! どうしたらいいんだよ!」
「ファーストキスもしてないのに、こんなとこで死んでたまるかよ!」
その時列車は、光浩らの後方10メートルまで迫って来ていた!
「うわぁぁぁああ!」
流石の光浩も狼狽し、声すら出ない。
まさに絶体絶命のピンチ!
光浩らは、この窮地をすり抜けられるのか?
光浩ら悪ガキどもの運命は如何に?
毎日、色々な事があったし、色々な出逢いや、やりたいこと、やるべきこと…時が過ぎるのが遅かったな!良いんだか、悪いんだか…(笑)
さて、外伝の話も小学生高学年まで来テルな!まっ、自分で言うのも何だけど、とにかく悪ガキだったよ…(笑)
どうしょうねぇくらいな!!
つづきをどうぞ…急に!?(笑)
~・~・~・~・~・~・~・~・~
得意満面の光浩に、射竦めるような目つきを投げ掛けたのは、光浩とは一番付き合いの古い小野田芳雄だった。
「おいおい、どっかにはしごでもあるってのかよ?」
「おう、ここにはないけどよ、このまま日ノ出町の方に向かって行けば、山があるだろ? 前に京急に乗ってる時、窓からチラッと見たことがあるんだよ。崖のところに石段があって、そのまま線路に降りて行ける場所がさ…」
「あっ! なるほどなぁ。そっから降りて、線路辿りながらここの上まで戻って来るわけか!」
物分かりの早い仲間の一人が感心しきりに、膝を叩いた。
「その通り! もう電車も走っていないからな。何だったら、線路の上をチャリで走ったっていいわけだ」
無謀なことを殊の外好む光浩は、興奮醒めやらない様子で、悪ガキ仲間達を先導した。
そこは、野毛山の登り坂を頂きに向かってすぐの西戸部町にあった。
「おいおい、どっかにはしごでもあるってのかよ?」
「おう、ここにはないけどよ、このまま日ノ出町の方に向かって行けば、山があるだろ? 前に京急に乗ってる時、窓からチラッと見たことがあるんだよ。崖のところに石段があって、そのまま線路に降りて行ける場所がさ…」
「あっ! なるほどなぁ。そっから降りて、線路辿りながらここの上まで戻って来るわけか!」
物分かりの早い仲間の一人が感心しきりに、膝を叩いた。
「その通り! もう電車も走っていないからな。何だったら、線路の上をチャリで走ったっていいわけだ」
無謀なことを殊の外好む光浩は、興奮醒めやらない様子で、悪ガキ仲間達を先導した。
そこは、野毛山の登り坂を頂きに向かってすぐの西戸部町にあった。
周辺は閑静な住宅街だったが、夜ということもあるのだろう。
まだ緑を残している自然との調和が些かミスマッチに見える、ある種の無気味さを湛えた場所だった。
光浩が連れて来た件の石段も、確かに存在していた。
屋根のないトンネルとでも形容すべきか、石段から見下ろしたその光景は、広い褐色の側溝の下を線路が何処までも延びているような、奇怪な雰囲気が漂っていた。
「おい、こんなとこ、降りるのかよ?」
「いいじゃん! こんなとこ、チャリで走れるなんてワクワクするだろ(笑)」
全く動じない光浩に背中を推された面々は、それぞれ自転車を掲げながら、石段を下って行った。
光浩らが乗った自転車は、目的地である平沼に向かって、足場の悪い枕木の上を
一列に並んで走り出した。
「なんだか、気分いいなぁ! みっちゃん、さっきはつかかって悪かったなぁ」
「おう、いいってことよ! しかし、何だろう。この夜を制したような爽快な気分は」
「ハハハ、ガキがナマ言ってらあ」
「お前らも、ガキだろう(笑)」
それぞれが、想い想いの軽口を叩いている時だった。
プアァァァァアン
静寂の闇夜を引き裂くような汽笛音が光浩らの心臓に思いっきり響いた。
後方を振り向く光浩らの視界に飛び込んできたのは、終電を終え、回送列車となった京浜急行の先頭車両であった。
列車は、光浩らの後方、20メートルまで迫って来ている。
「うわっ、電車じゃねーかよ!」
「みっちゃん、まだ電車走ってんじゃねーかよ!」
「このままじゃ、俺達轢かれちまうよ!」
「おい! どうしたらいいんだよ!」
「ファーストキスもしてないのに、こんなとこで死んでたまるかよ!」
その時列車は、光浩らの後方10メートルまで迫って来ていた!
「うわぁぁぁああ!」
流石の光浩も狼狽し、声すら出ない。
まさに絶体絶命のピンチ!
光浩らは、この窮地をすり抜けられるのか?
光浩ら悪ガキどもの運命は如何に?
つづく…
※この物語は、限りなくノンフィクションに近い、フィクションである。
著 名和 広