与太郎外伝 第一章 4
テルだ!元気か?昨日更新予定だったが、
原稿を温めてしまった…スマン!
昨晩は飲みすぎた…横浜は、元町、本牧辺りで6軒の梯子酒…やっちまったな!
と、言うことで、つづきをどうぞ…
~・~・~・~・~・~・~・~・~
小学五年生になっていた光浩にとって、横浜市、延いては神奈川県全域は、既に我が家の庭のような存在で、神奈川県といえば、繁華街から路地裏の至る所まで、全てを知り尽くしているつもりだったそうだが、唯一、誰に聞いてもわからない、正体不明のスポットがあり、夏休みのある日、猛烈な好奇心から、悪友達との間で、その場所に赴いてみようというプランが出た。
その場所とは、京浜急行電鉄の敷地内にある廃墟と化したプラットフォームで、横浜駅と戸部駅の間にある平沼という場所にあった。
その場所とは、京浜急行電鉄の敷地内にある廃墟と化したプラットフォームで、横浜駅と戸部駅の間にある平沼という場所にあった。
京急の敷地内であるため、電車が走っている早朝から零時過ぎまでは、当然足を踏み入れることは出来ない。
もし、職員に見付かりでもしたら、大変な騒動を招くことは必至だ。
そこで、光浩は悪友達に一計を案じた。
深夜一時に反町公園に集まり、そこから、自転車に乗って件のプラットフォームへ向かおうと…。
後に、昼夜逆転し、完全な深夜族になってしまう光浩だったが、この時はまだ十一歳。
十時を過ぎる頃には、睡魔に襲われるため、夜更かしして、次の日を迎えるということ自体、未経験だったのだ。
それは、光浩だけではなく、光浩と同学年である他の悪友達もまた同様であった。
だが、異常なまでに強い冒険心は、そんな睡魔にも打ち勝ち、光浩だけではなく、このツアーに賛同した悪友全員が、深夜一時を過ぎる頃には、集まっていた。
「よーし! 全員揃ったな!」
光浩も彼らも、夜中家族が寝静まるのを待って、みな出て来たのだ。
光浩を先頭に、人気のない路地裏を経由しながら、目的地である平沼へと向かう。
何故、遠回りとなる路地裏を経由したかというと、国道などの目抜き通りを走れば、巡回中の警察官に見付かり、集団家出と間違える危険性があるからだった。
補導などされたら、折角の冒険プランも水の泡だ。
大胆不敵な行動力を発揮する半面、光浩には、このような、年齢に比して老成しているというか、思慮深い一面があった。
当時の深夜の横浜は、今のような賑わいとは全くもって無縁で、鬱蒼とした静寂に包まれていた。
なので、ペダルを漕ぐ都度、未知なる領域に踏み込んでいく、心地良い緊張感が殊更に募っていったという。
光浩達悪ガキ一行は、神奈川駅、横浜駅と、警察の深夜パトロールの目を無事にすり抜け、目的地である平沼商店街に面した京急線高架下へと辿り着く。
悪ガキ仲間の一人がリュックサックから懐中電灯を取り出す。
光浩とは幼稚園時代の親友である小野田芳雄少年だ。
芳雄の持つ懐中電灯が照らし出した先には、古ぼけたコンクリートの階段らしきものが見える。
だが、その四方八方は高さ三メートルはあろうかという鉄板によって塞がれている。
階段もその鉄板の繋ぎ目の僅かな隙間から覗ける程度なのだ。
勿論、そこに足を掛けて、乗り越えることなど出来ない。
「どうする?」
「折角ここまで来たのに、このまま帰るなんてやだよ」
悪友達は狼狽した想いをそれぞれ口にする。
「おいおい、諦めることはないぞ」
光浩に何か名案が浮かんだらしい。
「おい! 何かいい手があるのかよ?」
「ある!」
自信満々に答える光浩だったが、それは彼ら子供にとって、九死に一生を得るか否かの、無謀極まりない暴挙でもあった。
もし、職員に見付かりでもしたら、大変な騒動を招くことは必至だ。
そこで、光浩は悪友達に一計を案じた。
深夜一時に反町公園に集まり、そこから、自転車に乗って件のプラットフォームへ向かおうと…。
後に、昼夜逆転し、完全な深夜族になってしまう光浩だったが、この時はまだ十一歳。
十時を過ぎる頃には、睡魔に襲われるため、夜更かしして、次の日を迎えるということ自体、未経験だったのだ。
それは、光浩だけではなく、光浩と同学年である他の悪友達もまた同様であった。
だが、異常なまでに強い冒険心は、そんな睡魔にも打ち勝ち、光浩だけではなく、このツアーに賛同した悪友全員が、深夜一時を過ぎる頃には、集まっていた。
「よーし! 全員揃ったな!」
光浩も彼らも、夜中家族が寝静まるのを待って、みな出て来たのだ。
光浩を先頭に、人気のない路地裏を経由しながら、目的地である平沼へと向かう。
何故、遠回りとなる路地裏を経由したかというと、国道などの目抜き通りを走れば、巡回中の警察官に見付かり、集団家出と間違える危険性があるからだった。
補導などされたら、折角の冒険プランも水の泡だ。
大胆不敵な行動力を発揮する半面、光浩には、このような、年齢に比して老成しているというか、思慮深い一面があった。
当時の深夜の横浜は、今のような賑わいとは全くもって無縁で、鬱蒼とした静寂に包まれていた。
なので、ペダルを漕ぐ都度、未知なる領域に踏み込んでいく、心地良い緊張感が殊更に募っていったという。
光浩達悪ガキ一行は、神奈川駅、横浜駅と、警察の深夜パトロールの目を無事にすり抜け、目的地である平沼商店街に面した京急線高架下へと辿り着く。
悪ガキ仲間の一人がリュックサックから懐中電灯を取り出す。
光浩とは幼稚園時代の親友である小野田芳雄少年だ。
芳雄の持つ懐中電灯が照らし出した先には、古ぼけたコンクリートの階段らしきものが見える。
だが、その四方八方は高さ三メートルはあろうかという鉄板によって塞がれている。
階段もその鉄板の繋ぎ目の僅かな隙間から覗ける程度なのだ。
勿論、そこに足を掛けて、乗り越えることなど出来ない。
「どうする?」
「折角ここまで来たのに、このまま帰るなんてやだよ」
悪友達は狼狽した想いをそれぞれ口にする。
「おいおい、諦めることはないぞ」
光浩に何か名案が浮かんだらしい。
「おい! 何かいい手があるのかよ?」
「ある!」
自信満々に答える光浩だったが、それは彼ら子供にとって、九死に一生を得るか否かの、無謀極まりない暴挙でもあった。
つづく…
この物語は、限りなくノンフィクションに近い、フィクションである。
著 名和 広