与太郎外伝 序章 2 | ビーバップ城東のテル オフィシャルブログ「与太郎外伝」Powered by Ameba

与太郎外伝 序章 2

テルだ!
ここ最近の暑さといったら、ハンパねぇなっ!気を付けないとヤられちまうよ!

先週から連載開始の白井光浩物語、与太郎外伝、どうだたかな!?
FacebookやTwitter等、各SNSからの反響も、思いのほか良かったよ!
今後も期待して欲しいな!

さて、この物語の作者、名和 広 氏とは?
誰?
そんな方々の為に、チョイと紹介を…
というのは、「往年の名俳優がテルさんのことを書いてくれているんですか!?」という質問がいくつも舞い込んできたからだ。

今回、俺のことを書いてくれている名和広さんは、東映の大々先輩、村岡組長や色情大名で知られる名和宏さん、その人ではない。

まぁ、近いって言えば、近い人なんだけど、これまで複数の単独著作を商業出版で出している純然たる作家センセイだ。
著書はこちら…
伏見直樹のジゴロ聖訓 名和 広 http://www.amazon.co.jp/dp/4380129012/ref=cm_sw_r_udp_awd_UUp1tb05CCVGD

赤塚不二夫大先生を読む―「本気ふざけ」的解釈〈Book1〉 名和 広 http://www.amazon.co.jp/dp/4784519041/ref=cm_sw_r_udp_awd_mWp1tb1AMS1E7

そんな名和センセイの新刊本が、明日29日に発売されるとのこと。

タイトルは「赤塚不二夫というメディア 破戒と諧謔のギャグゲリラ伝説」で、社会評論社から2200円+税で発売だ。
赤塚不二夫というメディア 破戒と諧謔のギャグゲリラ伝説 名和 広 http://www.amazon.co.jp/dp/4784519114/ref=cm_sw_r_udp_awd_6Wp1tb0QM8XH7

ギャグの神様、赤塚不二夫先生やその時代に興味のある人は是非手にとって欲しい。

宣伝じみたな!(笑)

そんなわけで、連載第二回、いってみようか。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・

熱海駅と名古屋駅で、共通の趣味により大人になって出来た、N氏、I氏という友人二人と合流し、一路、城東のテルが待つ岐阜県は岐南町へと向かった。

「城東のテルを囲む夕べ」の開催場所は、地元でも名の知れた、牛肉、しゃぶしゃぶ、ステーキの専門店「鴻臚館」で、それも30畳近い大広間を借り切っての盛大な催しだった。

主催者であるT氏は、白井氏が日本史に造詣が深く、また無類の城マニアということもあり、事前に現地入りしていた白井氏に、ご当地の史跡名所を案内して廻るなど、厚い歓迎で持て成したという。

会場では、我々3人のほかに、開催前から数十名の参加者が席に着いており、改めてテル人気の高さを思い知らされると同時に、熱いファンの連帯のようなものその熱気から感じた。

そして、司会の方の提案により、我々がテル語の一つである「あ~ん!!」の掛け声で呼び掛けると、拍手喝采に包まれる中、柔和な笑みを浮かべた白井氏が襖を開けて登場。

多数のファンがわざわざ岐阜の地まで駆け付けて来てくれたということもあり、終始上機嫌な人懐っこい笑顔で、我々を歓待してくれた。

香しい美酒と絶品の肉料理に舌鼓を打つ中、同行した友人・N氏が「高校与太郎哀歌」のDVDを、持参したノート・パソコンで流し、後半はそれを観ながらの宴となった。

また、その時々の撮影秘話を白井氏が絶妙な話術によって、臨場感たっぷりに解説して下さり、より作品を身近に感じることも出来たのも、嬉しい収穫だった。

驚いたことに、この撮影時、白井氏は弱冠18歳だったという。

18歳にして、あの威風堂々たる貫禄と熱演は、ひたすら驚くばかりだが、「ん!? 18歳!! ちょっと待て待て…(笑)」

この時白井氏は、ロケ先の静岡鉄道の鉄橋(巴五番地)で、パーラメントをふかしながら、「何だぁ~、お前らぁ~ 誰にやられたんだぁ~!?」と、トオルとヒロシにやられた城東勢に語り掛けるシーンを演じていたではないか!?

私がそのことを指摘すると…。

「えっ、あのシーン!? うん、だって、監督が吸ってちょうだいって言うんだもん~♪」

屈託のない笑顔で答える白井氏だった(笑)。

白井氏の回想譚は、いずれもファン瞠目の貴重な証言ばかりだったが、今後の展開を考慮し、ここでは割愛させて頂く。

しかし、その中でも、取り分け印象に残った白井氏絡みの秘話を、この場にて若干ピックアップしておきたい。

山田敏光がヒロシを公開処刑する操車場は、現在みなとみらい地区のエリアにあったところ。

ヒロシを余裕で倒した敏光に、圧倒的な格の違いを見せ付けられたテルが苦悶に震える表情を見せるシーンは、何テイクも取られただけあり、自身にとっても一押しのシーンになったこと。

立花勢のボンタンを狩ったテルがエコーを効かせて、高笑いをするシーンがあるが、これは技術的な効果による処理ではなく、白井氏自ら自宅の風呂場で練習し、あみ出したものであること。

トオルを冷凍倉庫でリンチした際、食肉を剣山で叩き、精神的に更に追い詰めてゆくシーンがあるが、剣山があまりにも重く、とても長時間片手で持ち上げられるものではなかっため、途中で放り捨ててしまったこと。

廃墟のプールにて、トオルとの一騎打ちに雪崩れ込む直前に、その追跡を阻止すべくガソリンを撒き散らすシーンで使われたのは、実はフルーツポンチ味のファンタであったことなどなど…。

宴たけなわの中、3時間余りの夕べも、終了となり、この後どうしようかと思案していたところ、主催者のT氏が二次会をセッティングして下さり、我々もお邪魔させて頂くことになった。

この時の宴が、参加者全員にとって生涯忘れられない想い出となったのも、この主催者のT氏が、私を含め、初めて来られたファンの方々にも、分け隔てのない持て成しをしてくださったことも大きい。

二次会会場は、T氏行き着けのカラオケ・バーで、ここではファン一堂、白井氏とともに「ビー・バップ・シンドローム」を大合唱。その後も、白井氏自慢の喉による浜田省吾の「マネー」に耳を傾ける。

一次会を含め、計6時間にも及ぶ大宴会だった。

日付変わって、この後那須博之監督の三回忌に向かうという白井氏は、ファン一人一人と、熱い抱擁と握手を交わし、宿泊先のビジネスホテルに戻ろうとしていた。

だが、その瞬間、白井氏の鋭い目線が私の左手にある紙袋へと止まる。

「あれ!! キミが持ってるその紙袋、元町のユニオンのじゃん(笑)」

「ええ、実家のすぐそばなんですよ。最寄り駅は石川町ですし…」

「えっ!? 俺も地元横浜で、これから横浜に戻るんだよ」

「あっ!? そうだったんですか!!」

「そうかぁ、まさか岐阜の地で、同じ地元民と会うとはなぁ…。ん!? ところでキミ、最寄り駅が石川町って言ったよね…」

「はい」

「もしかして、寿町とか根城にしてんの!?」

この人、一体何てことを言うのだ。

寿町とは、横浜市中区にある、東京の山谷や大阪のあいりん地区と並ぶ、日本の三大ドヤ街のひとつである。

冗談とはいえ、横浜在住の人間にとって、これほど屈辱的な言葉はない。

興奮と満足と屈辱。

そう、白井光浩氏との初めての出会いは、これらの感情が綯い交ぜとなった、なかなか人生において遭遇しないであろう、実に奇妙なそれであった…。
つづく…

※この物語は、限りなくノンフィクションに近い、フィクションである。
著 名和  広