妹からの電話はこういう内容だった。

パパが倒れた。
隣の部屋の人が気付いてくれて病院に連れていってくれた。
家族を呼んだ方がいいというから
これから行くから
いまどこ?

私はカンさんの家の前にいるからこれから行く。

電話を切って、イヤだ、と言って、とりあえず泣いた。
ポケットからハンカチを出して、涙をふいてくれるカンさんにすがる。
落ち着け、お前は長女だろ、と言われる。
しばらくそのままでいて
とにかく帰る。
大丈夫か?運転しようか?と言ってくれる。
大丈夫。そんなでもない気がする。大丈夫。

帰り道にまた妹から電話。
いまどこ?
いま向かってる。

妹の家に迎えに行き、妹と妹の彼氏を車に乗せて
ママの家に向かう。

4人で、パパの病院に向かう。


なんだろう。
初めてのデートで、こんな事になってるなんて。
私はどこまでもドラマな人生なんだろうか。

 
エムのことは、いろいろと、遠くに置いておくことにした。

カンさんと、予定してたけど、彼氏がいるならと保留にしたデートを
することにした。
だってもう別れたし。

水族館に行った。
カンさんはダイビングのインストラクターをしていた事があって
ダイビングには行けないから
一緒に水族館に行く。

待ち合わせ場所に車で向かい
彼が運転をする。
それは新鮮。
いつでも私が運転だったから。
運転をするのは好きだけど、助手席も好き。
大好きな音楽をかけて、高速にはのらない。
いろんな話をして
笑う。

水族館は、とてもキレイで
カンさんの大好きな海を、近くで感じる。
こどものようにはしゃぐカンさんをみて、うれしくなる。
大きな水槽の前から離れないで、ずっと見てる。
うしろから腕をまわしてきて、くっつく。
その感じが、とてもやさしくて、やわらかくて、エロい。
こういう感じが、すごく好きだと思う。

移動をして、近くのモールへ行って
ごはんを食べる。
いつもは夜中にしか会ってなかったのが
今は天気のいい昼間。
いろんなお店を見て、
そうだ、映画を見ようかと言って
二人で、気になっていた映画を見る。
同じような所で笑う。

帰りに、家の近くでごはんを食べて
また車の中で、キスをする。
おでこに、目に、ほっぺに
たくさんキスをして、もう、ただただセックスがしたくて
お願いだからして!なんてばかみたいに言う私を笑う。
もう、次はホテル行こう!とかバカな事を言っていると
時計はもう2時になってる。

携帯が鳴る。

妹からの着信。

なんだろうと電話に出ると
「パパが倒れた」
と言う。

 
帰ろうとする時に

「やだ、淋しい、明日会えない」と言うと

「リミッター外してきたな」って言われる。

「だって今まで言わなかったじゃん」だって。

そんなつもりはなかったんだけど。


彼は自分の気持ちとか、あんまり言わない。
私の事をちゃんと好きだって、一度も言わない。
とっておいてくれてんのかなーって思ったり
でもやっぱり、不安になったりするから

「私の気持ちは伝わってる?」って聞けば「わかってるよ」って言ってくれて
「俺の気持ちはわかってる?」って聞かれたから「わかんない」って言っておいた。
そしたらまた彼は笑った。

手をつないだり、ぎゅーってしたり、
そんな事は、好きじゃなければしないって事くらいわかってる。
流産した事も話したし、子供ほしいーって言ったりすれば
「そうだなー」とか言ってくれる。

それって、そういう事も考えてくれてんのかなぁとか漠然と思ったりする。
5,6年ずっと、こういう事すらしたいと思える人に会わずにいたのに
私にはそう思ってくれてるってだけで、とても不思議で、私はラッキーだって思う。
でもまだ、この先どうなるかわかんないって事を話すと不安になる。
「それはお互い様だろ」とか言われると、その通りだし
でもなんか、やっぱり、とても、淋しい。