岡山市北区一宮。 吉備の中山のふもとに、静かに、しかし堂々と佇むのが 吉備津彦神社(きびつひこじんじゃ)。 備前国一之宮として古くから崇敬され、別名は 「朝日の宮」 とも呼ばれています。
吉備津彦神社は、古来より神体山として信仰されてきた 吉備の中山 の北東麓に鎮座しています。 山そのものが神様の宿る場所とされてきたため、境内に入ると空気が一段と澄んでいるように感じます。
参道を歩くと、木々の間から差し込む光が美しく、朝に訪れるとまさに“朝日の宮”の名にふさわしい景色。
主祭神は 大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)。 第7代・孝霊天皇の皇子で、四道将軍として吉備国を平定した人物と伝わります。
この大吉備津彦命こそ、岡山に伝わる 桃太郎伝説のモデル とも言われており、 神社自体も日本遺産「桃太郎伝説の生まれたまち おかやま」の構成文化財に認定されています。
歴史と伝説が重なる、なんともロマンのある神社です。
吉備津彦神社は、歴代の領主から厚い崇敬を受けてきました。 特に江戸時代には岡山藩主・池田家が社殿を造営し、現在の社殿もその流れを汲むものです。
昭和5年の火災で多くの建物が焼失しましたが、本殿と随神門は残り、 昭和11年に再建された社殿は「昭和の国宝」とも称されるほど美しい造り。
境内を歩くと、歴史の重みと再建の力強さが同時に感じられます。
境内には樹齢千年以上とされる大杉があり、「龍が宿る」と伝えられる神秘的な御神木。 火災や老朽化を乗り越え、今もなお参拝者を見守っています。
木の前に立つと、静かに力を感じるような、不思議な存在感がありました。
朝日の差し込む参道、歴史ある社殿、伝統行事、そして神体山・吉備の中山。 歩くほどに心が整い、自然と深呼吸したくなるような時間が流れています。
岡山を訪れるなら、ぜひ一度足を運んでみてください。 きっと、旅の思い出に残る“静かな感動”が待っています。































