「ほほえみ鬱」という言葉を始めて耳にしました。

笑顔の裏に抑うつ気分が隠れている、うつ病だけど、笑顔で頑張っているということでしょうか?

 

この言葉を知ったのはカンファレンスの後でした。

私の病院は、現在、看護師が疲弊する労働環境にあります。

運営の仕組みが整っていない、人員が患者さんの介護度や病状に合わせたものに整備されていない。入院患者数だけしか見ていない経営者。

私は、自分の意見をストレートに言うタイプです。

吐き出さないとストレスが溜まるので、それが自分のストレス対処法となっています。

 

そんな私もちょっとした上司の言葉で退職を決めました。

嘘をつくというのが許せなかったからです。

 

管理職になると、責任というものが発生します。

自分は自分の担当領域において、責任を取る覚悟をしています。

私は病棟師長なので、病棟のこと、自分が委員長をしている委員会のことです。

思いつく限りの対策を立てて、事故がおきないよう、職員と患者さんが安全に入院できるよう、いつもそのことばかり考えて仕事をしています。

自分が判断していないことまで、自分のせいにされることに納得がいきませんでした。

 

認知症の増加は社会現象で、増加するということは予測されていることです。

患者の高齢化、介護度の増加、多死社会というのも解っていることです。

運営は、今までと同じでは成立しない。

でも、経営者にきちんとした現場の状況が報告されていない。

だから、経営者も今までと同じと思っているのではないか。

私はそう思っています。

 

もっと現場の意見を聞いて欲しい。

カンファレンスでは、職員の正直な気持ちを表出してもらいました。

普段なら、上司に気を遣って意見を言えない、忙しくて言うチャンスがない職員も

昨日は一人ひとり意見をしてくれました。

私は私で、管理職として、今の現状と事故リスク、リスクに対する職員への対価について検討して欲しいことを文書化しています。

現場の職員の声を聴いて欲しいとも。

 

皆、看護師という仕事に誇りを持っています。

患者さんに不利益になるようなことはしたくない。

自分の思うような看護が出来ずにジレンマを抱えている。

このままだとここで働けない。そんな気持ちになっていました。

疲れているのです。

 

目の前のことをこなしていく。

業務が作業になり、看護でなくなっている気がする。

受け持ち患者さんと関わる時間が持てない。

 

きちんとした看護を展開したいのに、出来ない環境と人員。

これが皆のストレスになっているということが解りました。

 

言ったって変わらない、という人がいます。

本当にそうでしょうか?

言っても伝わらない、解って貰えないのに、

言わなかったらどうなるでしょうか?

私は、自分の意見はきちんと伝えるほうが良いと思います。

言って変わらなかったとしても

言ったという自分の中での心の整理は出来ます。

伝わらず、なにも変わらず、今の状況に耐えられなければ

辞めればいい。

そう思います。

 

私は起業するから退職するという意向を病院に伝えています。

だから、最期に、いつも助けてくれた職員にできることをしようと

意見をまとめて提出しました。

 

反応はどうなるか、解りません。

 

辛いこと、思うようにならないことがある。

でも、物事の良い面を見て脳を騙そう、コントロールしよう。

それしか皆に言う言葉が出て来ませんでした。

そうしたら、ある職員が

「だから、ほほえみ鬱が生まれるんだ」と言いました。

 

なるほど。

 

やっぱり、我慢せずに苦しいときは苦しいと吐き出す方が良いよね。

 

自分を壊してまですることはない。

自分のことは自分で守るしかない。

 

私は未来の収入が不安定になったり、事業が立ち行かなくなったりする可能性より

今の環境で働くことのリスクが高いと判断した。

それに、25年間積み重ねてきた技術を未来の子供たちや

病気にならない心と身体をセルフケアできる人を増やすことに使いたい。

私は人を助けるために看護師になったのです。

たくさん稼いで、社会貢献して、自然、環境保護、子供たちの教育に投資できるようになりたい。

 

自分の命を後に続く命に繋ぐために何かできることがあるはず。

このままでは終わらない。

絶対にやり遂げる。

 

一人ひとりが自分の人生について考えて良いんだよ。

私が皆に言えるのは、これでした。

 

自分の心と身体を守ろう。

今日も一日大切に。