今日は私の大好きな方の命日でした。
直木賞作家・向田邦子さんは、
1981年8月22日、台湾旅行中に航空機事故で亡くなりました。
私は向田さんの死後、作品に触れその観察力や感性に魅せられていきました。
アナウンサー試験のための作文の勉強としても向田作品は大いに役立ち、私は勝手に
「文章の師匠」だと思っておりました。
そして、魅力ある言葉を紡ぎ出す向田邦子さんに会いたくて仕方なくなりました。
しかし、もう会えるはずもなく、思いついたのがお墓参りでした。
向田さんが妹さんと開いていた、赤坂の居酒屋「ままや」に電話をかけてしまったのです!
電話に出たのは妹の和子さんでした。
私は向田邦子さんに対する思いを一気に語りました。
今思い返すと実に身勝手な行動です。
けれど、和子さんは最後まで私の話しにお付き合い下さり、私にとって忘れることの出来ない言葉を渡してくださいました。
「ありがとう。そんなにまで姉のことを思ってくれて...でも、姉は『生きてるうちが華!死んだらおしまい!』という人だったから、今、あなたにとって有意義なことに時間を使って下さい。」
この言葉が私の背中を強く押してくれました!
絶対にアナウンサーになる!
しかも、「ままや」のある赤坂の放送局にのアナウンサーに!
それから、願いが通じてTBSに入社してから「ままや」にお礼に伺いましたが、カウンターの向こうで忙しく働く和子さんには
声をかけられませんでした。
その時から30年の月日が流れ、
やっと今日、「文章の師匠」との対面をしてきました。
向田邦子さんの墓には既に花が手向けられていました。きっと妹の和子さんがいらしたのでしょう。
『生きてるうちが華!』
精一杯生きるんだという向田邦子さんの
メッセージを改めて受けとることが出来たお墓参りでした。