七夕の夜に・・・☆ | 「窓辺の風景」 ・・・喜・想・哀・楽  

「窓辺の風景」 ・・・喜・想・哀・楽  

かけがえのない大切な時の流れ・・・
心の窓を開いて望む一瞬の風景を、優しい言の葉で綴ります。



ここ数日の雨続きで、今夜も九州の空は雲に覆われ、星空を見つめることは叶いませんが

大切な命閉じ逝かれ、心星となられた方々も大勢いらしたことでしょう。


私は今日は、90歳のおじいちゃまをお見送りしてきました。10年ほど前に最愛の奥様を見送られ

ご遺影はかなりお若い頃(・・・と言っても60代くらいでしょうか^^;)のお写真でしたが、鼻筋の通った

とても端正な顔立ちの素敵な紳士です。最期までつきっきりの看病をなさったという三女の方が

喪主をお務めでしたが、忙しそうに動いておられたために、ご長女が代わりに打ち合わせをして

くださいました。いつものように式の流れをご説明し、代読する弔電の確認も済ませて、話のやりとりから

打ち解けてくださった雰囲気を感じ取った私は、ご遺影の笑顔を話のきっかけにしてお尋ねしました。


「ご家族皆さんにとっては、きっとご自慢のお父様でいらしたのでしょう?」


「ええ、私たちが言うのも変ですが、高校生の娘がいるのに、独身と間違われるくらい、若々しい父でした。」

ここ4年ほどは入退院を繰り返しておられたそうですが、ご長女とご二女は嫁いでそれぞれの生活があり

独身で三女のA子さんが、それは親身に看病をなさり、「妹は母を亡くした悲しみがとても大きかったので

父もきっと妹のことが気がかりで、一人ぼっちにならないようにと、今日までがんばって生きてくれたのでは

ないかと思うんですよ。」と、お二人それぞれを労うかのようにお話ししてくださいました。

「あるご住職がこんなお話を聞かせてくださいました。人は二度死ぬんですと・・・。一度目はこの身体が

尽きる時、そして二度目は人々の記憶から消える時です。これからもご家族で、亡くなられた方と過ごした

たくさんの思い出話をして、心の中から消してしまわないようにすれば、故人はずっと生き続けられますよと

お聞きしたことがあります。どうか妹さん方とご一緒に、お父様やお母様のお話をなさってくださいね。」

そう申し上げると、ご長女の表情が少しだけ和らいだ気がしました。
高齢化社会の介護という大きな問題は、さまざまな事情も含んでいますが、親の気持ちと子どもの気持ち

どちらも言葉に言い表せない思いが、たくさんあることを教えられるばかりです。

お柩の胸元にはこれまた美しい奥様の写真が添えてありました。遺族謝辞ではご二女が

「父は、母が大好きでしたから、きっとこれからは二人で仲良く過ごせることが幸せだと思います。」

と、見送る悲しさと一緒に、ご両親の再会を喜びたいと涙ぐまれたのでした。

厚い雲の先に広がる夜空に向かい、待ちわびる奥様と手をとり、寄り添われるご両親の笑顔を

きっと三姉妹で感じていらっしゃるに違いありません。