かろうじてカズの吐 き出 したものは風呂の外にかかってて、湯船は汚してはいない、はず。


ぐったり力の抜けたカズを軽く洗い流してやって、後始末して。
タオルで包んで部屋に戻る。


きれいにベッドメイクされたベッドは、今回も一つしか使わないだろうな。


ベッドにカズを寝かせて俺もそこに横になった。
持ってきていた常温の水のペットボトルの蓋を開けて手渡すと、ごくごくと美味そうに飲んだ。



「じゅんくん、激 しすぎだよ……もう俺、力でない……」



ぱたんと四肢を投げ出して転がるカズに、




「何いってんの、本番はここからじゃん」

て笑った。



「え……??」

「俺まだ1回しかイ ッてないし。この上質なベッドの寝心地も試したいし」

「え、寝ればいいじゃん……?」

「うん、だから、寝よ」

「どーいう意味?!」

「お前のい い声、今度は遠慮なく聞かせてくれよ……」

「はあ?!ちょ、ま………、んんっ、んんーーー!」




それから、長い夜を十分楽しんだ。














「じゅんくん、ねえ、じゅんくん」

眠りの中の遠いどこかで愛しい声がする。



「朝ごはん行くんじゃないの?ここの朝食うまいらしいからって楽しみにしてたでしょ?」

「んーーーー」



返事もできず目を閉じたままぎゅーっと隣のぬくもりを抱きしめた。



朝はどうしても苦手だ。ぱっと起きられた試しがない。
とくに隣にこんな柔らかなぬくもりがあれば……ベッドから出たくなくなるのもわかるでしょ?



でも今日は特別だから!
気合を入れて体を起こす。
まだ目は開いてないけど。



「目、覚ますために露天風呂行ってきたら?」

「んーー。一緒、行く?」

「何されるかわかんないからぜーったい行かなーい」

「ふふ、なんだそれ」



はいはい、行ってきな?ってタオルを渡されて、ふたりで笑った。








朝食もほんっとにうまくて、大満足。

つぎはせめて2泊くらいしたいよな、って名残惜しく思いながらチェックアウトした。




それから、最初の予定通り美術館行って、ちかくのカフェで軽くランチして。
温泉街でおみやげ見繕って。


ほんと、ほんっと、楽しかった。









帰ってきて翌日、いつもの5人で俺んちに集まった。
おみやげも渡したかったし。


旅のいろんな話……露天風呂でのことはもちろん伏せたけど……それ以外、すっげえいい宿だったよってみんなに勧めたり、写真見せたり。



「でもさ、意外と旅行に行ったらカズが結構動くからさ、意外だったの。もっとゲームとかしてて動かないイメージだったからさー」

「あーそれね、特別」

「え?」




聞いた途端に、丁度よかった、ってカズが目配せして、


奥から相葉くんと翔さんがごそごそと何かを持ってきた。


大野さんがせーの、って大きな声で言って……



「じゅんくん、誕生日おめでとう!」って。




でっかいケーキにロウソクが立ってて……
びっくりして固まった。


俺、サプライズって苦手で、
されてもリアクションがうまくできなくて、固まっちゃうんだけど。


こんなの、子どもんとき以来だ………。





「誕生日だからさ、お祝いに頑張ったよー、いろいろ」

「えっ、いろいろって??エ ロエ ロ?」



ばかじゃねえの??ってカズが大野さんを叩いて、大野さんも大げさに痛がって。


そっか……、カズ、俺のために……。




「正確には誕生日当日じゃないけど、ね。楽しかった?」

「もちろん」


ぎゅっとカズを抱きしめた。



「おいおーい、オレたちもいるんだからね?」

「そうそう、え?帰ったほうがいい??」



ふざけて笑う3人にも、お礼を言って、
改めて乾杯して。

そっからは俺の誕生日パーティーになった。



カズとゆっくり過ごせて、
こうやってみんなにも祝ってもらえて。
今年の誕生日は特別になった。

なんか照れくさくてなかなか言えないけど、


グーッと酒を飲んで、力借りて、

「みんな、ほんとにありがとう!みんなに出会えてよかった!」って叫んだ。




ここ数年で一番って言っていいほどの幸せな週末。

どうやって返そう、どんなふうに今度はみんなを喜ばせることができるのかな。


こういうことの積み重ねで毎日があればいい。


面倒なことも辛いことももちろんあるけど、
こうやってみんなで優しさを与えあっていければ、
みんな笑顔で過ごせるんじゃないかな。


なんて言ったらきっと、じゅんくんはロマンチストだねって笑われるかも。ね。





それもまた、いいんじゃない?






(おわり)












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なんか相変わらずうまく終われない………
ていうか潤くん語りむり………難しい……



書き始めたのが3年前で、もちろんコロナ前で、
だからとにかくゆっくり旅行してもらいたいなってそういうお話。笑


最初は、海辺の町でキラキラ輝く波を見ながら潮風に吹かれる潤を見たかったんですけど、
最近見たバラエティー番組に出てた山のホテルがすっっごく良くて!
あーここ泊まりたい!でも無理!高すぎる!じゃあわたしのかわりに末ズ行ってきて!
ていうことで、宿泊地変更してもらっちゃいました。笑


書き方忘れちゃった。
もっと頑張りたい。もっと上手くなりたい。です。




お越しいただきありがとうございました!