俺はソファーの上、ノートパソコンと一緒に残されて、目の前の画面に目を落とした。


「見といて、って言われても…」



画面の中の、イラスト化した俺たちに似たふたりは、頬を赤らめながらキスしてて。

スクロールしてみれば、それは何枚にも渡ってて、進めていけばいくほどその行為はエスカレートしていってて。


「ちょっとヤバイんじゃないの…」


噂には聞いたこと、あった。
こういう世界のこと…



でも、実際に見たのははじめて。




噂を聞いたときはもっと違和感があるのかなって思ったけど…そんなこともなくて…
むしろ、ちょっと興味があって。

イラストのそばの文章を、読んでみた。

その短い物語に出てくるのは、5人組のアイドル。

俺達の名前じゃない、だけどなんとなくその5人は俺達に似てて。
その中のふたり……俺に似たのと、あの人に似たの、ふたりが付き合ってるみたいで。

なんだか不思議な気持ちでそれを読む。
俺の言えないひとことを、アイツにサラリと言う、俺じゃない、俺。
俺が夜な夜な、アイツにしたいって思うことをしてる俺。

いつの間にか夢中になって、スクロールしながら読みすすめてた。











「やあだ、ニノちゃん、真剣に見すぎ!」

いつの間に風呂から上がったのか、急に隣で声がしてビクッとする。

「面白い?オレにも見せて!」

ぎゅっとくっついてくるから、なんだか…ドキドキしてた心臓の音が聞こえてしまいそうで、パソコンを手渡して俺はソファーから立ち上がった。


手に持っていたビールをきゅっと飲みながらパソコンに目を落とす、相葉さん。その後ろ頭を俺も見るともなしに、見る。
丸い後頭部、スラリと伸びた首筋。
物語の中の俺は、あのうなじのにおいを嗅いでいた、後ろからあいつを抱きしめて…思いの丈を伝えていた。好きだ、って…だから、シよ?なんてストレートに。

なんだか腹の奥がずくんと熱くなる気がして、「俺もビールもらう!」ってその場を振り切るように離れた。

キッチンに行って冷蔵庫から一本取り出して、その場でプルタブを上げる。
プシュ、て音が心地良い。
グッと中身を半分ほど飲んで、手に持ったままキッチンから見えるあいつを眺めた。

膝に乗せたパソコンを食い入るように見つめて、飲んでた缶をローテーブルに置いた。
軽い音に、もうほとんど飲み干したんだってわかる。

「もう一本持ってくー?」

「ううん、いいや」

目を離さないままそう言って、しばらく夢中に眺めているから、
なんとなく隣に行くのをためらって…少し離れて、ソファーの横の地べたに座った。








「すっごいね、これ……」




しばらく読みすすめていた相葉さんが、掠れた声で言った。








「どうしよ。勃 っちゃった」

「はぁぁぁああ???」

「だって、だってこれ、なんか………オレたちみたいじゃない??」

「なっ、ばっ、おまっ、はあ??」

「なんかさ………、ねえ、ちょっと面白くない??」

「おまえっ、何言い出すんだよ!」

「え、だってニノちゃん、オレのこと、すきでしょ?」




急に言われて、ぐっ、て息をのんだ。



「は……、はは……なに、言って」

「オレはニノが好きだよ」

「っ!」




急に近づいてこられて、咄嗟に目をつぶったけど、
気がついたら俺の唇に……アイツの唇が重なってた。