6畳の四角い部屋の殆どを占めて、部屋の真ん中に置かれた大きめなベッドの上で、女が悲鳴を上げた。
身体を隠そうと身を捩ってシーツを掴もうとするのに構わず続けて櫻井は腰を振る。
「ちょっと待ってろ」
そう言ってじっと二宮の目を見る。
二宮の目を見たまま、女には目もくれず、しかし身体はそのまま行為を続けた。
しばらくそのまま続けていたが、櫻井は「チッ」と舌打ちをしてその行為を突然やめた。
「お前声うるせぇよ、冷める」
と、ベッドの上に散乱していた女の服を掴んで投げつけて、「帰れ」と顎でドアを指し示した。
「お前、呼びつけときながら何してんの」
「だってカズくんおせーんだもん」
「カズくんとか言うな、気持ち悪ぃ」
ハハッ、と渇いた笑いをして櫻井は全 裸のままベッドに胡座をかいた。
「そんな口の利き方していーの?未来のセ、ン、セー」
「それはそれは、失礼しました、坊っちゃん」
わざと慇懃な口をきいて二宮ははあっとため息をついた。
「てかさ、急に入ってくんなよなー。悪趣味ぃー。」
「じゃあ鍵ぐらい閉めとけよ、見せたいの?」
それには答えずにふふんと笑って、櫻井は裸のままキッチンへと向かい、冷蔵庫からビールを取り出した。
2本出して、ん?と目で合図する。二宮もそれに答えて小さく首を振ってNoの合図。
長い付き合いのせいか、言葉にせずとも会話のできる関係性を、気に入っていた頃もあったのに……。
そんなふうに思いながら二宮は、はあっともう一度ため息をついた。
プシュ、と小気味良い音を立ててプルタブを上げて、櫻井はうまそうにビールをゴクゴクと飲む。その喉仏が上下するさまを見るともなしに見る。
見られてることに気付いて櫻井は、カン、と中身の減った軽い音をさせてその缶をシンクの横に置いた。
「なに、物欲しそうな顔して」
近づいて、二宮の顎を手で押し上げてその目を覗き込む。
琥珀色の透き通った目………どんなに薄汚れた世界を見ようとも、まるで出会った頃の少年時代と変わらないような色をした少し潤んだ瞳が、こちらを睨むように見返していた。
「シたくなっちゃった?」
「はあ?」
「覗き見しておっ勃 ててんじゃねーの、カズくん、やーらし」
ニヤリと笑ってするっと二宮の股 間を撫でた。
慌てて腰を引く。
「っざけんなよ」
「俺だってせっかく女とイイコトしてたのに邪魔されて、中途半端なんだよねー。」
そう言って、逃げようとする二宮の腰を両手で押さえて股 間をグリグリと押し付けてくる。
流石に完 勃 ちではないものの芯を持ったそれは、さっきまでの情 事の名残でぬらぬらと光っている。
「はあ?ばっかじゃねえの、っん…………」
悪態をそのまま飲み込むように櫻井は二宮の唇を奪うと、ねっとりと舌を絡めとった。
シンクの前に立ったまま、舌を吸う濡れた音と色を含んだふたり分の吐息が狭いキッチンに響く。
キスをしながら櫻井が器用に二宮のスーツのジャケットを脱がせ床に放り投げ、その手がするりとシャツの隙間から入り込み、素肌を撫でた。
唇を離さないままどんどん服を脱がせていく。
二宮も初めは抵抗するような素振りを見せたものの、すぐに櫻井を手助けするように脱がされていく。
キッチンの床にグシャッとできた服溜まりを蹴散らすようにしてベッドへと向かった。
(次回はアメンバー限定記事です)