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「あの濃密な時間を忘れたのかよぉー、ニノぉー!」



ゲームしてる上からのしかかるように被さって言うと、真っ赤な顔のままニノは言った。




「バッカじゃないの!仮装したことあります、って言って突っ込まれたらどーすんのさ。
エロい黒猫メイドさんになって、変態翔ちゃんに突っ込まれてましたーって言うのかよ!」


「それは言えねぇなー」


「大問題でしょ!」


「あんな可愛いニノ、他の誰にも見せらんねーもん。俺だけの、だよな…」



そう言ってキスしようと顔を近づけたら、片手で顔を抑えられて阻まれた。



「言っとくけどね、今年は翔ちゃんの番だからね」


「はあ?」


「もっとすごいの、用意してあるから。かっわいいだろうなー、翔ちゃん。楽しみだな」




ニヤリ、と笑う顔が雄っぽくて、どきっとする。



ハロウィン、楽しみにしててよね、って笑うニノの背後に、悪魔の尻尾が見えて…


どうやって逃げようか、って考えながらも、
でもきっと、可愛い恋人の言うこと聞いて翻弄されちゃうんだろうな、って思う。



それが怖くもあり、少し楽しみでもあり…。



どんなハロウィンだったかって?
そんなの言えねーよ。
ふたりだけの、秘密だから。











(おしまい)