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「……、………、」
声がする。
知らない間に寝ちゃったのかもしれない。
オレを呼ぶ聞き馴染みのある声に
じわじわと意識が戻ってくる。
「相葉さん、ねえ、相葉さん」
目を開けると、オレを覗き込むように立つニノの顔があった。
「相葉さん、大丈夫?汗だくだけど」
「え?ニノ?なんでこんなとこに……」
慌てるオレを見て、ニノは笑う。
「近くまで来たからさ、応援に来たのよ」
「え?マジで?」
意外な一言にびっくりした。
ドラマの撮影が終わったばかりとは言っても、次の映画のプロモーションで忙しいはずだ。
ましてや出不精のニノが。
「なにキョトンとしてんのよ。変なの」
手を口元に当ててくすくすと笑う。
よっぽど不思議そうな顔をしていたみたいだ。
「今日はちょっと調子も良かったからさ、見に来たのよ」
くふふ、って笑う顔に、ちょっと見とれながらも、あれ?調子が良かった?って、どういうこと?って、引っかかる。
「え、ニノ調子悪かったの?大丈夫?」
全然気づかなかったから。びっくりして。
忙しかったからかな。
「もう。何言ってんの?
暑すぎておかしくなっちゃったんじゃないの?」
笑うニノの顔は、いつもと全然変わらない。
たしかに顔色は真っ白だけど、いつものことだし……とくべつ、具合が悪そうって感じもしない。
よかった……。
ひとり、胸を撫で下ろしていると、
「じゃ、一緒に帰ろ?」
って、ニノが首を傾げた。
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