だからって、オレたちは別に付き合ってる、ってわけじゃなくて。





お互いに彼女がいたこともあったし…
どっちかにそういう相手ができたら、離れて…いなくなったら、また…
そんなふうに曖昧な関係のまま、もう何年も過ごしている。








つまり、セ フレ、ってやつ…?






だっておーちゃんは、オレにキスひとつしない。




するのはいつもオレんちで。
メシ食って、セ ッ クスして、スッキリして、帰ってく。
泊まったりもしない。







お互いの時間が合うときに、ヤるだけの…

都合の良い関係。













前からもやもやと考えていたそういう事に改めて気づいてしまったオレは、なんだか複雑な気分で、楽屋のソファーですやすや眠るおーちゃんを見ていた。



まだみんなは来てなくて、珍しくオレとおーちゃんとふたりきり。



オレがついたときにはもうおーちゃんは眠ってて、オレは、ただその寝顔を見ていた。



おーちゃんは、どうしてオレにあんなことするんだろう。
ただ気持ちよくなりたいだけ?
手っ取り早く抜きたいだけ?
後腐れない関係が楽なだけ?








ソファーの向かいの椅子から立ち上がって、ソファーの前にしゃがむ。

ちょっと口を開けて気持ちよさそうに眠るおーちゃんの寝顔を、近くで見つめた。





寝顔を見ていたら、たまらなくなって。
なんだか、胸がキューッとして。

ゆっくり、顔を近づけて…
そっと、唇をくっつけた。
オレとおーちゃんの初めてのキスは、ふわっと柔らかくてあったかくて。







なんだか、泣きそうになった。








.