「はぁ?!な、に、なに、言ってんの」


びっくりしすぎて口がまわんねぇ。




「だってさ……もう高校生なのに俺、なんにも知らなくて……。
やっぱ、そういうのだって経験じゃん?
覚えておかなきゃ、って」

「そういう問題じゃねえだろ……。」

「俺、なんか、経験豊富って思われててさ…。
実はまだ、なんて言えないし……」

「だ、だからって、俺じゃねえだろ」

「こんなこと……翔くんにしか頼めないもん…」





『もん』、って!なんだよそれ!





確かに潤はモテるし、派手な顔立ちだから、もうとっくにキスぐらい経験済みかと思ってた…俺でさえそう思うんだから、周りの他人たちもきっとそう思うだろう。

だからって…。




「おまえ、第一好きな子いるんだろ?その子としたらいいじゃん。ちゃんと告ってさ…」

「……それが出来たら苦労しないよ……」




まあ、それもそうか……。それが出来たら俺になんか言わない、か。


見た目は随分成長してても、中身は俺の知ってる潤のままなのかも、なんて思うと、
なんつーか、ほっとするというか安心するというか……
って、なんでだ。





「ねえ、お願い……」




潤のでっかい目がウルッと潤んでこっちを見る。
昔から、こいつの上目遣いには弱いんだ……。





「あー、あー、わかったよ!」

「いいの??」




ニコッ、と笑う顔が昔のまんまで。
なんだか……なんか、うん。
まあ、いいかな、って、思っちゃったんだ。