結局、その飲み会は閉店間際まで続いて、いい気分になったみんなはふわふわしながら帰っていった。
今日は金曜日。
明日は休みだから、みんな遅くまで飲んだんだろうけど、俺はもちろん明日も仕事だから…
みんなを見送って、閉店作業をした。
こうやって飲みに来てくれるようになって、カズの職場環境がとてもいいことがわかる。
わかるんだけど…。
今日初めてつれてきた、あの大野っていう上司…、
別になんでもないってわかってるんだけどさ、頭ではわかってるんだけど、、カズはすごく可愛いから。意識せずに上目遣いで人を見たりして、懐に飛び込んでいくのが得意だから。だから……油断ならないっていうか。
そういうんじゃなかったはずの俺があいつと付き合い出すくらい、惹きこむ何かを持ってるから…。
そんなことをもやもやと感じながら仕事を終えて、帰り支度をしてスタッフルームでスマホを見たら、そのカズからのメッセージが届いていて、
俺は急いで挨拶をして店を飛び出した。
『近くのファミレスで待ってる。一緒に帰ろ』
通知の一行だけで読めちゃうメッセージに既読をつける間も惜しんで、ファミレスへと走った。
「早かったね」
って笑うカズの顔はほんのりと赤らんでいて、こないだほどじゃないけど、軽く酔ってる。
「ごめん、待たせて」
「ううん、ちょっと飲みすぎちゃったからさ、コーヒー飲んで酔いを覚ましてたとこ」
行こ、って店を出て、駅まで歩く。
駅から3駅、徒歩10分。
二人並んで、夜の街を歩いた。